さて金曜に工房からアンティークジュエリーのお直しが2点あがってきましたので、アンティークジュエリーの修理の一例と言うことでご紹介したいと思います。
アンティーク指輪のサイズ直し等については、色々とご質問を頂くわりに、私のほうではルーティンになってしまっているところもあり、あまり細かく画像と共にご説明したことがなかったと思います。
今後、修理の一例で面白そうな事例がありましたら、ブログで紹介させていただきたいと思います!
まずスタンダードな指輪のサイズ直しの一例です。
17号から7号へとダイナミックなサイズダウンでした。
Before (17号)
After(7号)
こちらのアンティーク指輪のサイズ直しは難易度が高めでした。
理由は3つ。
1)17号から7号へということで、比較的大きなサイズ変更であること
2)束ねシャンクになっていること
3)刻印が2箇所にはいっていること
刻印を残したまま、バランスよくそして指輪に負荷をなるべくかけないよう1箇所で切れるかがポイントになりました。
難しい場合は2箇所出来ることになりますが、今回は1箇所ですんでいます。
そしてバランスもとても綺麗!
私もそしてご納品しましたお客様も、
「サイズダウンをした後の方が、アメジストの丸みを帯びたフォルムがより愛らしく引き立つ」と良い意味で驚きました。
特にサイズダウンをしたときに、「直したほうがオリジナルよりもこの指輪が美しく見える!」と思ったことは今までも何回かあります。
これはやはりそのアンティーク指輪のバランスの加減なのでしょう。
一般的にサイズを小さくしたほうが石の大きさが細工の繊細さが引き立って魅力的に見えることが多いように感じます。
刻印2つ(赤丸部分)も無事に残すことが出来ています。
2つの刻印は「フランスの18金の刻印」と「工房印」になります。
フランスの刻印制度は、イギリスの刻印と比べて情報量が少ないです。
大体のアンティークジュエリーでは金位(あるいはプラチナの証)のみが押されることが多いですが、時々工房印も押されているものがあります。
「金位」と「工房印」なぜか離されて(別々の場所に)押されることが多いです。
4時、8時のあたりに押されることが多いので、サイズ直しの際にデリケートな部分があります。
(アンティークジュエリーの修理は人にもよりますが日本の方がレベルが高いです。
現代のフランスの職人なら見事にいびつになるか刻印を片方つぶしてしまいそう・・・)
ちなみに刻印については、最近色々ご質問を頂くことが多いので、商品説明の中で今後なるべく細かく書いていきたいと思います。
フランスのアンティークジュエリーの刻印制度は情報量が少なく、「刻印=アンティークの証」そのものにはならないことが多いです。
「金位の証」にはなります。
刻印があったほうが良いですが、ないケースも多々あり(19世紀前半以前、2ミリ以下のジュエリー等々)、刻印がない=フェイクということでもなく。
「刻印がある=フェイクでないという証明」とにもならないケースも多いです。
色々な角度から検証が必要で、かつ色々な例外等を加味して考えないといけません。
なんでフランスはイギリスみたいに情報量の多い刻印制度を導入してくれていなかったの!!!
と恨みに思ってしまいます。。。
さて話が脱線していますが、修理の続き。
お次はピアスです。
Before
After
細工が細やかな非常に美しいピアスなのですが(でも写真がイマイチなので今度取り直そうと思っています)、先日、片側のパールが少し浮いたようになってしまっていることに気づきました。
工房に確認しましたら「パールの芯が長すぎるよう」とのこと。
そこで調整をお願いいたしました。
もちろんオリジナリティは損ねず、芯の部分の長さを調整してもらっています。
そこで綺麗に収まりました。
安全面でも安全になりました。
こうしたちょっと部分の調整こそ、アンティークジュエリーの修理でその職人さんの腕やセンスが問われるところです。
私がお願いしている方は腕が素晴らしく、よく感嘆しています。
修理は「何かのパーツを丸ごと取り替える」みたいな方がずっと楽で、こうしたオリジナルを残したままの調整と言うのは本当に難しいです。
例えばドルムーズピアスの開閉時の硬さを調整するとか、ブローチのがたつきを改善するとか、そういうのって普通の工房にいくと
「直すとなると全部変えないと」とか
「古いものなのだったらそれも味わいと思って使うほうがいいんじゃないですか?」
とかいって逃げられます・・・。
アンティークジュエリーの修理は、して良い修理と悪い修理があります。
オリジナリティを大きく損ねるような修理はNGですが、使い心地を改善するというのは、ある意味、作られた当時の状態に近づけることで必要な修理になってきます。
そこを怠ると、アンティークジュエリーも装着するものですので、紛失や壊れる原因を放置してしまうことになります。
修理はかなり私がこだわりをもっていますので、本当に信頼できる方にお願いして、また私も細かなチェックとリクエストをかかさずしています。
駆け出しのころから、日本のアンティークジュエリーの重鎮たちが利用する専門工房にお願いしていて(彼らの扱っているジュエリーの販売値段はその当時、私が扱ってきたアンティークジュエリーと1ケタ以上違っていましたが)、やはりこういうところにはお金をかけるべき!と思って取り組んできました。
それもこれもやはり古い時代の良いものを良いコンディションで、長く後世に残して生きたいからという願いがあるからです。
今日は友人が東京から遊びにきていましたので、先ほどお茶をしてきました。
同じ大学出身で同じ年で、彼女もアンティークやヴィンテージが大好きなので(分野は違うのですがヴィンテージのディーラーさんです)、とても刺激を受けてまた楽しかったです!
皆様もどうぞ良い週末をお過ごしください。
アンティーク指輪のサイズ直し等については、色々とご質問を頂くわりに、私のほうではルーティンになってしまっているところもあり、あまり細かく画像と共にご説明したことがなかったと思います。
今後、修理の一例で面白そうな事例がありましたら、ブログで紹介させていただきたいと思います!
まずスタンダードな指輪のサイズ直しの一例です。
17号から7号へとダイナミックなサイズダウンでした。
Before (17号)
After(7号)
こちらのアンティーク指輪のサイズ直しは難易度が高めでした。
理由は3つ。
1)17号から7号へということで、比較的大きなサイズ変更であること
2)束ねシャンクになっていること
3)刻印が2箇所にはいっていること
刻印を残したまま、バランスよくそして指輪に負荷をなるべくかけないよう1箇所で切れるかがポイントになりました。
難しい場合は2箇所出来ることになりますが、今回は1箇所ですんでいます。
そしてバランスもとても綺麗!
私もそしてご納品しましたお客様も、
「サイズダウンをした後の方が、アメジストの丸みを帯びたフォルムがより愛らしく引き立つ」と良い意味で驚きました。
特にサイズダウンをしたときに、「直したほうがオリジナルよりもこの指輪が美しく見える!」と思ったことは今までも何回かあります。
これはやはりそのアンティーク指輪のバランスの加減なのでしょう。
一般的にサイズを小さくしたほうが石の大きさが細工の繊細さが引き立って魅力的に見えることが多いように感じます。
刻印2つ(赤丸部分)も無事に残すことが出来ています。
2つの刻印は「フランスの18金の刻印」と「工房印」になります。
フランスの刻印制度は、イギリスの刻印と比べて情報量が少ないです。
大体のアンティークジュエリーでは金位(あるいはプラチナの証)のみが押されることが多いですが、時々工房印も押されているものがあります。
「金位」と「工房印」なぜか離されて(別々の場所に)押されることが多いです。
4時、8時のあたりに押されることが多いので、サイズ直しの際にデリケートな部分があります。
(アンティークジュエリーの修理は人にもよりますが日本の方がレベルが高いです。
現代のフランスの職人なら見事にいびつになるか刻印を片方つぶしてしまいそう・・・)
ちなみに刻印については、最近色々ご質問を頂くことが多いので、商品説明の中で今後なるべく細かく書いていきたいと思います。
フランスのアンティークジュエリーの刻印制度は情報量が少なく、「刻印=アンティークの証」そのものにはならないことが多いです。
「金位の証」にはなります。
刻印があったほうが良いですが、ないケースも多々あり(19世紀前半以前、2ミリ以下のジュエリー等々)、刻印がない=フェイクということでもなく。
「刻印がある=フェイクでないという証明」とにもならないケースも多いです。
色々な角度から検証が必要で、かつ色々な例外等を加味して考えないといけません。
なんでフランスはイギリスみたいに情報量の多い刻印制度を導入してくれていなかったの!!!
と恨みに思ってしまいます。。。
さて話が脱線していますが、修理の続き。
お次はピアスです。
Before
After
細工が細やかな非常に美しいピアスなのですが(でも写真がイマイチなので今度取り直そうと思っています)、先日、片側のパールが少し浮いたようになってしまっていることに気づきました。
工房に確認しましたら「パールの芯が長すぎるよう」とのこと。
そこで調整をお願いいたしました。
もちろんオリジナリティは損ねず、芯の部分の長さを調整してもらっています。
そこで綺麗に収まりました。
安全面でも安全になりました。
こうしたちょっと部分の調整こそ、アンティークジュエリーの修理でその職人さんの腕やセンスが問われるところです。
私がお願いしている方は腕が素晴らしく、よく感嘆しています。
修理は「何かのパーツを丸ごと取り替える」みたいな方がずっと楽で、こうしたオリジナルを残したままの調整と言うのは本当に難しいです。
例えばドルムーズピアスの開閉時の硬さを調整するとか、ブローチのがたつきを改善するとか、そういうのって普通の工房にいくと
「直すとなると全部変えないと」とか
「古いものなのだったらそれも味わいと思って使うほうがいいんじゃないですか?」
とかいって逃げられます・・・。
アンティークジュエリーの修理は、して良い修理と悪い修理があります。
オリジナリティを大きく損ねるような修理はNGですが、使い心地を改善するというのは、ある意味、作られた当時の状態に近づけることで必要な修理になってきます。
そこを怠ると、アンティークジュエリーも装着するものですので、紛失や壊れる原因を放置してしまうことになります。
修理はかなり私がこだわりをもっていますので、本当に信頼できる方にお願いして、また私も細かなチェックとリクエストをかかさずしています。
駆け出しのころから、日本のアンティークジュエリーの重鎮たちが利用する専門工房にお願いしていて(彼らの扱っているジュエリーの販売値段はその当時、私が扱ってきたアンティークジュエリーと1ケタ以上違っていましたが)、やはりこういうところにはお金をかけるべき!と思って取り組んできました。
それもこれもやはり古い時代の良いものを良いコンディションで、長く後世に残して生きたいからという願いがあるからです。
今日は友人が東京から遊びにきていましたので、先ほどお茶をしてきました。
同じ大学出身で同じ年で、彼女もアンティークやヴィンテージが大好きなので(分野は違うのですがヴィンテージのディーラーさんです)、とても刺激を受けてまた楽しかったです!
皆様もどうぞ良い週末をお過ごしください。
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