今回の買い付けの市場の状況を、私なりにまとめてみました。

難しい点としては何と言っても・・・

1)ユーロ高(と言いますか円安!)
黒歴史ではありますが、私は大学を卒業して最初に勤めていたのが外資系の金融機関でした(しかも為替)。
というわけで人に比べるとやはり色々詳しいかもしれません。
工夫はしています。
ただ今後のこともあるので保有しているポンドなどを切りくずりながらも、半分ぐらいは今のレートを使わざるを得ない感じです。
それでも他社さんよりはレートかなり抑えられているとは思います。


2)良い点は
中国人ディーラーはかなり減りました(⌒-⌒)
ただ僅かに残っている中国人ディーラーさんたち、以前はフランスでも比較的自分たちになじみのある「翡翠」「真珠」を用いたジュエリーなどがお好きだったのですが、なぜか最近フランスの特に初期のころのジュエリーも買うようになってきているようです。
本当、やめてほしいのですけど・・・
でも以前に比べて購買力はかなり落ちています

3)近頃の動き
ここにきて、やはりゴールドの価格の上昇はきついです。
特に重量のあるゴールドチェーンなどはなかなか価格のアップがきついです。

ただ今後下がるかと言えば、下がりづらいと思っています。
残念ながらますますゴールドの価格はあがるでしょうし、アンティークジュエリーのことをよくわからないフランスの一般人がこうした状況下でゴールドのアンティークジュエリーを「ゴールド」として売ってしまうということも起きています。
その後、仮にゴールドの価格が下がったとしても、全体としてアンティークジュエリーの量が少なくなってしまい(そうしたことがなくても物は当然毎年減ってきているのです)結局そのまま上がり続けてしまいます。

当店としてもきついですが、このあたりは将来への投資も兼ねて少し買っています。
お値段的にはどうしても以前よりはしてしまいますが、少し保管をしておいても良いなという気持ちで仕入れています。


市場は厳しいですがライバルもあまりいないです。
ゴールド製品の値上がりがすさまじいせいか、「アンティークジュエリーの細工や仕事ぶり」に対する再評価というのは、現地のディーラーさんも含めてアンティーク業界全体に改めて出てきているように思います。
私も前回から「銀でできたものでも細工の良いもの、面白いものなどを探してほしい」といった依頼をしていまして、「そういえば在庫として昔買い込んでいたものの中から見つくろってきたよ」と言って色々持ってきてくれました。



あと今、仕入れがきついのは現地のディーラーさんも同じで(海外からのディーラーさんもなかなか少なくなってきているので高く仕入れても彼らとしても売りづらいのです)。
割と昔からの在庫とかを売ってくれたり、年齢的にディーラーさんたちの親世代が他界する年代になってきていることもあり、ファミリージュエリー(知り合いの分も含めて)を譲ってくださることもあります。

大変な市況下ではありますが、そこはみなさんディーラーの性分。
処世術がうまいといいますか、感が良いといいますか、生き残りに長けた生来の強さがあります。
そして肩を寄せ合い、シェルシュミディにも協力してくださいます。
私もフランスに買い付けに行って長いですし、常にフランスに買い付けに来る日本人としてはそれなりに知られていますので、「Tomokoもしぶとく生き残ってね」みたいな感じで親愛を感じてくれているディーラーさんも少なくないです。

どんな時でもやはり商材を見つけて、楽しく商売をしていく、それがアンティークディーラーの矜持!
私も世の中の色々な変化、何でもどんと来い!といった心構えです。

もとも過ぎたことは流してしまうタイプなので「昔は為替が良かった、商売がもう少し楽だった」とか良くも悪くも振り返るということがあまりしないんですね。
サバイブすることに私も生きがいを感じているところがあります(⌒?⌒)
ディーラーさんたちとの仕事の時間は何と言っても楽しく常に新しいジュエリーを前にドキドキもほっこりします。

晴れた日のパリ。雨が降ったり晴れたりが忙しいパリでした。
今回割と中心部にいたということもあり、ほとんどの時は徒歩で移動していました。

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