昨日1940-1950年頃に製作されたと推定されるゴージャスなブローチをアップさせていただきました。
ルビー&ブルーサファイヤ ゴールドブローチ(1940-1950年 お花)。


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当店のお客様は基本的にアンティークジュエリーがお好きですよね。
1940年代以降のジュエリーは、アンティークではなくヴィンテージというのがふさわしいですね。
しかし近年ではこの時代の特に価値のあるジュエリーをエステートジュエリーと呼び区別しています。
繊細で貴族的な前世紀のジュエリーとはテイストもデザインも一線を画します。


ヴィンテージ(エステート)ジュエリーなんて面白くない?大量生産品?価値がない?

大間違いです。
しかしアンティークジュエリーと呼ばれる1930年頃までのジュエリーより難しくなるのは、価値が高く認められているのはこの時代のごく一部のジュエリーだけということです。
この時代、特にアメリカではコスチュームジュエリーが多く作られ、ミリアムハスケルをはじめ名の知れたデザイナーのコスチュームジュエリーもやはり近年非常に高いコレクター価値が見出されていますが。
この時代の特にフランスを中心にしたメゾンの製作したジュエリーは、またまったく異なる意味で非常に注目がされています。


「注目」といいましても日本の反応が遅いだけで、そのブームは既にさり確固たる地位を築いてかなりの年月が経っています。
15年ほど前、せめて10年前にこの手のジュエリーを買い集めていたら・・・と思ってしまいます。

この時代に面白いジュエリーが作られた理由はなんでしょう?
1つに、この時代はアンティークジュエリーは続く時代ですから、特に1940-50年はまだフランスに非常に腕のよい職人さんが存在していたことです。
2つ目:ジュエリークリエイションの主体がかつての貴族を中心にするパトロンではなく、メゾンに移ります。
メゾンの代表たるがカルティエであったり、ヴァンクリーフアーペルだったりしますが、それ以外にも優れたメゾンがまだたくさんあった時代。
メゾンが主体になりジュエリーが製作された、その最盛期なのです。

こうしたメゾン(ブランド)も残念ながら年月がたつほどに、面白いジュエリーが作れなくなってしまいます。
1940-1960年ぐらいにしっかりとしたメゾンの製作したジュエリーはそれだけに普遍的な価値を持つようになったのです。
ジュエリー製作の現場のスキルというのは、例えば鋳型だとかCADといった技術がでることで、本来の製作技術をどんどんとダメにしてしまい、今では10年ほど前にできたこともできなくなっているといわれています。
例えば上質な爪留めさえできる職人さんがほとんどいないのです。
本当に悲しいですけど・・・。


では1970年代、1980年代にブランドの作ったジュエリーはどうなの?といった疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、これらはヨーロッパでもいわゆる良質な中古品以外の価値は今のところ見出されていません。
実際この時代になりますと大量生産品になりますから、私から見る限りは少なくとも面白さは感じられません。
「いつか時代が来れば評価は変わるのでは?」
と思われるかもしれませんが、普遍的な価値を持つ、そして限られた数しか作られなかったものしか、年月を経ることで価値が上がることはないのではないのです。/span>