2015.07.13 (Mon)
ロンドンで見るフェイクアンティークジュエリー
さて、今週末より宝塚ホテルでの催事も控えており、催事の準備に追われています。
買い付け日記もそろそろ終わりにしないと・・・。
さてロンドンでの滞在はパリ以上に短かったですが、内容は濃かったです。
初日はついただけ、次の日は朝からマーケットを回り、アンティークフェアを一通りみて、そして午後の終わりに個人的に親しいディーラーさん宅へ行かせていただきました。
もちろん目的は買い付け!ですが、色々な話に及びました。
彼女自身はとても誠実な商売をされている方ですが、色々なジュエリーのサンプルなども持っています。
ここで「フェイクアンティークジュエリー」と言ってしまうと語弊はあるかもしれませんが、いくつか全てがオリジナルでないジュエリーを実物と共に見せていただきました。
1)1960年ぐらいにアールデコ当時のジュエリーにもして作られたと思われる指輪。
パッとみた感じでは1920-30年代のアールデコのエメラルドの指輪そっくりに見えます。
私が違和感を感じたのは触れたときで、異様に軽いと感じました。
*重量というのはジュエリーや素材を判断する上でとても大きな要素になります。
例えばその時代にその国で作られたジュエリーをこれまで山ほど見てきたとしますと、手の感覚でなんとなくこのタイプの指輪はこれぐらいのさわり心地だったというのが記憶に残っているのです。
その時代はやはりこうしたデザインであれば、こうした貴金属の使われ方がした・・・とかそうしたルールのようなものってあるんです。
そうしたジュエリーを模して後年に作られたものは、見かけはかなり似たテイストに仕上がっていたとしても、使用する貴金属の量も違ってきます。
アンティークジュエリーって裏面なども凝った作りのものが多いですね。
装飾的な違和感だけでなく、おそらくそうした微細な素材の使い方が重量感の違いにつながることが多いのでしょう。
それからしっかり近くで見ますと、基本的な部分を鋳型で作っていて、ミルグレインなどが後ほど手作業で入れられていることが分ります。
これらのミルグレインもオリジナルのアールデコのジュエリーに比べればずっと粗いです。
触感も明らかにざらざらしており、この指輪は手にした瞬間に、いくつものシグナルが感じられる指輪です。
しかし手にするまでは、他のジュエリーと並んでいますとそれらしく見えるのも事実。
なかなか腕が良いと妙に感心しました。
2)これは悪意があっての改造ではないのですが、中心のメイン石が割れてしまっていたと言うことで大きなアメジストだけが後年に入れ替えられたペンダント。
こちらもパッとみたところは、要するに変えられたのは石だけですから違和感がそれほど感じられません。
しかしやはりこれも触った時に、違和感を感じます。
こちらは石の部分がフレーム部分に比べて妙に重いといいますか、ちょっと変わった形の石とペンダントだったこともあり、石を入れ替える時に重心が多分うまくあってないんです。
あと触れたときの、周りのエナメルの感じ。
随分ざらざらした感じがして、年月を経たエナメル特有の触感とは異なりました。
加工の際に何か事故があったのだと思います。
3)こちらは完全にアンティークジュエリーを模して作られたジュエリー。
銀製のローズカットダイヤモンドのペンダントで、中々良く出来ていました。
なかなかよく出来ているのですが、ダイヤモンドのクオリティーもデザインも細工もいずれも(本当のアンティークジュエリーと比べれば)相当劣りますので、パッとみた感じは「品質のよくないアンティークジュエリー」と言う印象を受ける方が一番多いと思います。
私の場合、いずれにせよここまであまりクオリティーが高くないジュエリーが目に入ることはないです。
しかし今、作ったと言われれば、そのレベルとしては非常に高く、なかなか良く作られていると妙に感心しました。
実はパリでも、アンティークジュエリーがどんどんと数が減ってくる中、名だたるアンティークフェアなどでさえ、現代ものや所謂ヴィンテージと呼ばれるもの、あるいは一部加工などが施されているものもいっぱい出展されているのです。
ただいわゆる「故意に作られたアンティークジュエリー」に関しては、フランスでもそれらしきものはあるのですが、故意に作られたとは思えないほどあからさまに違和感を感じさせるものが多いです。
つまりずっとフェイクアンティークジュエリーのクオリティーが低いです。
ロンドンの方がずっとハイレベルです。
ロンドンは、アンティークジュエリーを取り巻く環境がパリよりはずっと整っており、例えば修理にしても鑑別にしてもクリーニングにしてもずっとパリより揃っています。
つまりだからこそ、かなり上質なフェイクアンティークジュエリーも作られる素養があるのだと思います。
それだけの腕があるということです。
これらはもちろんそう断りの上で売られる分には問題ないのでしょうが、作り手やその時にオーダーした人に仮にその気がなかったとしても(ある場合も多そうですが)。
結局いろいろなところでオリジナルのアンティークジュエリーに混ざり、「オリジナルのアンティークジュエリーだよ」と売られることもでてきてしまうのだと思います、それが問題ですね。
彼女とはその後も実に色々なことを話し、とてもいい時間を過ごしました。
そしてもちろん何の問題もない素晴らしいアンティークジュエリーを数点、譲ったいただきました!
その日は夜は、現地に住む大学時代の女友達とディナーの約束が入っていました。
あわててホテルアパルトマンまで戻りましたら、ほどなくしてピンポーン。
宿泊していた場所から二人でぺちゃぺちゃおしゃべりしながら、カムデンの方向へ。
素晴らしく美味しいギリシャ料理(このタイミングで、ギリシャなんてタイムリーですよね!)。
ローカルでもとても人気のお店のようで、すぐに満席になっていました。


彼女ともビジネスや社会の話、、、、いえいえ完全にガールズトークに花が咲いていましたよ!
彼女はなかなか波乱万丈の人生を歩んでいて、数ヶ月前に数度目の結婚でめでたくロンドンにきたのです。
が・・・そこからまた色々なことが起こるのが彼女らしく、そしていつどんな時も素晴らしく自分のパワーを持ち続け、実際にいろいろな道を切り開いてしまっているところが、また彼女らしい!
この友人はいつどんな時も、自分らしい人生をまっとうするだろうと、そうした意味でとても信頼している友達です。
机を並べて勉強していたころからもう20年ほどがたち、お互いの環境も色々変化し、それぞれの事情も異なっている部分も多いのに、色々なことをネタにゲラゲラ笑いあえるところは、昔からまったく何も変わっていないです。
出張中の異国のロンドンで彼女と再会できるなんて、amazingでした!
買い付け日記もそろそろ終わりにしないと・・・。
さてロンドンでの滞在はパリ以上に短かったですが、内容は濃かったです。
初日はついただけ、次の日は朝からマーケットを回り、アンティークフェアを一通りみて、そして午後の終わりに個人的に親しいディーラーさん宅へ行かせていただきました。
もちろん目的は買い付け!ですが、色々な話に及びました。
彼女自身はとても誠実な商売をされている方ですが、色々なジュエリーのサンプルなども持っています。
ここで「フェイクアンティークジュエリー」と言ってしまうと語弊はあるかもしれませんが、いくつか全てがオリジナルでないジュエリーを実物と共に見せていただきました。
1)1960年ぐらいにアールデコ当時のジュエリーにもして作られたと思われる指輪。
パッとみた感じでは1920-30年代のアールデコのエメラルドの指輪そっくりに見えます。
私が違和感を感じたのは触れたときで、異様に軽いと感じました。
*重量というのはジュエリーや素材を判断する上でとても大きな要素になります。
例えばその時代にその国で作られたジュエリーをこれまで山ほど見てきたとしますと、手の感覚でなんとなくこのタイプの指輪はこれぐらいのさわり心地だったというのが記憶に残っているのです。
その時代はやはりこうしたデザインであれば、こうした貴金属の使われ方がした・・・とかそうしたルールのようなものってあるんです。
そうしたジュエリーを模して後年に作られたものは、見かけはかなり似たテイストに仕上がっていたとしても、使用する貴金属の量も違ってきます。
アンティークジュエリーって裏面なども凝った作りのものが多いですね。
装飾的な違和感だけでなく、おそらくそうした微細な素材の使い方が重量感の違いにつながることが多いのでしょう。
それからしっかり近くで見ますと、基本的な部分を鋳型で作っていて、ミルグレインなどが後ほど手作業で入れられていることが分ります。
これらのミルグレインもオリジナルのアールデコのジュエリーに比べればずっと粗いです。
触感も明らかにざらざらしており、この指輪は手にした瞬間に、いくつものシグナルが感じられる指輪です。
しかし手にするまでは、他のジュエリーと並んでいますとそれらしく見えるのも事実。
なかなか腕が良いと妙に感心しました。
2)これは悪意があっての改造ではないのですが、中心のメイン石が割れてしまっていたと言うことで大きなアメジストだけが後年に入れ替えられたペンダント。
こちらもパッとみたところは、要するに変えられたのは石だけですから違和感がそれほど感じられません。
しかしやはりこれも触った時に、違和感を感じます。
こちらは石の部分がフレーム部分に比べて妙に重いといいますか、ちょっと変わった形の石とペンダントだったこともあり、石を入れ替える時に重心が多分うまくあってないんです。
あと触れたときの、周りのエナメルの感じ。
随分ざらざらした感じがして、年月を経たエナメル特有の触感とは異なりました。
加工の際に何か事故があったのだと思います。
3)こちらは完全にアンティークジュエリーを模して作られたジュエリー。
銀製のローズカットダイヤモンドのペンダントで、中々良く出来ていました。
なかなかよく出来ているのですが、ダイヤモンドのクオリティーもデザインも細工もいずれも(本当のアンティークジュエリーと比べれば)相当劣りますので、パッとみた感じは「品質のよくないアンティークジュエリー」と言う印象を受ける方が一番多いと思います。
私の場合、いずれにせよここまであまりクオリティーが高くないジュエリーが目に入ることはないです。
しかし今、作ったと言われれば、そのレベルとしては非常に高く、なかなか良く作られていると妙に感心しました。
実はパリでも、アンティークジュエリーがどんどんと数が減ってくる中、名だたるアンティークフェアなどでさえ、現代ものや所謂ヴィンテージと呼ばれるもの、あるいは一部加工などが施されているものもいっぱい出展されているのです。
ただいわゆる「故意に作られたアンティークジュエリー」に関しては、フランスでもそれらしきものはあるのですが、故意に作られたとは思えないほどあからさまに違和感を感じさせるものが多いです。
つまりずっとフェイクアンティークジュエリーのクオリティーが低いです。
ロンドンの方がずっとハイレベルです。
ロンドンは、アンティークジュエリーを取り巻く環境がパリよりはずっと整っており、例えば修理にしても鑑別にしてもクリーニングにしてもずっとパリより揃っています。
つまりだからこそ、かなり上質なフェイクアンティークジュエリーも作られる素養があるのだと思います。
それだけの腕があるということです。
これらはもちろんそう断りの上で売られる分には問題ないのでしょうが、作り手やその時にオーダーした人に仮にその気がなかったとしても(ある場合も多そうですが)。
結局いろいろなところでオリジナルのアンティークジュエリーに混ざり、「オリジナルのアンティークジュエリーだよ」と売られることもでてきてしまうのだと思います、それが問題ですね。
彼女とはその後も実に色々なことを話し、とてもいい時間を過ごしました。
そしてもちろん何の問題もない素晴らしいアンティークジュエリーを数点、譲ったいただきました!
その日は夜は、現地に住む大学時代の女友達とディナーの約束が入っていました。
あわててホテルアパルトマンまで戻りましたら、ほどなくしてピンポーン。
宿泊していた場所から二人でぺちゃぺちゃおしゃべりしながら、カムデンの方向へ。
素晴らしく美味しいギリシャ料理(このタイミングで、ギリシャなんてタイムリーですよね!)。
ローカルでもとても人気のお店のようで、すぐに満席になっていました。


彼女ともビジネスや社会の話、、、、いえいえ完全にガールズトークに花が咲いていましたよ!
彼女はなかなか波乱万丈の人生を歩んでいて、数ヶ月前に数度目の結婚でめでたくロンドンにきたのです。
が・・・そこからまた色々なことが起こるのが彼女らしく、そしていつどんな時も素晴らしく自分のパワーを持ち続け、実際にいろいろな道を切り開いてしまっているところが、また彼女らしい!
この友人はいつどんな時も、自分らしい人生をまっとうするだろうと、そうした意味でとても信頼している友達です。
机を並べて勉強していたころからもう20年ほどがたち、お互いの環境も色々変化し、それぞれの事情も異なっている部分も多いのに、色々なことをネタにゲラゲラ笑いあえるところは、昔からまったく何も変わっていないです。
出張中の異国のロンドンで彼女と再会できるなんて、amazingでした!
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