さて買い付けの舞台はパリからロンドンへ移ります。
いつもながらほとんどのジュエリーはパリで買い付け済みですので、ロンドンは良いものがあったら仕入れるぐらいのスタンスで望みます。
最初の日は着いただけ。
次の日は早朝から活動開始です!
朝の6時前に家を出るので、さすがにタクシーでないと危ないかなと思い前日の夜に予約しておいたのですが、一年で一番日の長い六月、何とこの時間でも既に外は日が燦々さしていました。
この日に向かうマーケットは数年前に一度訪れたぐらいで、しばらくご無沙汰していたのですが、一人だけ気になるディーラーさんがいたのでそれを目当てにいってきます。
彼女のところには相変わらず好みのものもちらほらありました。
しかし既に先約がいて、そのドイツ人に思いっきり好みのものをもっていかれてしまいしょんぼり・・・。
といってもこのポンド高ですので、本当に仕入れたかは微妙なところです。
ロンドンのマーケットは・・・
パリに比べるとまだまだずーっとモノが沢山あります。
状態の良いアンティークジュエリーも、年代の古いもの(19世紀後期以降は特に)もパリほどまでには枯渇はしていません。
ただし問題点を挙げますと・・・
-どこも品揃えが似たり寄ったりであることが多い。
(特徴的なジュエリーは一般的には少ないです)
-それは値段に関しても同じで、おのおのが好き勝手にやっているフランスとは異なり相場の値段と言うのがある程度フィックスしているような感じがある
(つまりお得品を見つけるのは難しい!)
-異様とも思えるポンド高
2010年にかなりの金額をイギリスの銀行に移していますから、ポンド高でも大丈夫と言えば大丈夫なのですが、であればユーロ圏で買った方が良い?と言う比較は常にあります。
私がイギリスに来るのは、フランスでは見つけることができない、また別の意味でスペシャルなジュエリーを探すためですから、ありきたりな美しいジュエリーがありきたりの値段であっても、なかなか食指は動かないのです。。。
その日の朝は、そのお目当てで行ったディーラーさんからリーズナブルな売れ筋の指輪を2点ほど選び退散します。
そして次は・・・買い付けではなくオリンピアと言う場所に向かいます。
ここで年に2度開催されている、高級アンティークフェアが目的です。
ここでは仕入れが目的ではなく(というのもプロが訪れる市場とまたお値段の付けられ方が異なりますので)、純粋な見学。
いわば「観光」です(^ ^)
会場は下記みたいな感じです。

さすがに世界中から素晴らしいアンティーク(ジュエリーに限らない)が集い、仕入れをする心配もないので楽しめました。
そしてここで仕事上の収穫もありました。
ふらふらしていましたら、LAPADAのブースを見つけ、担当者と色々話をしてきました。
LAPADAとは何かと言うと簡単に訳すと「英国骨董協会」。
ちょうど相談をしにいきたいと思っていたところです。
この仕事をしていて時々問題になるのは、そのアンティークの真偽をどのように証明するかということです。
もちろん私を信頼してもらえれば一番いいですし、基本的にやはり当店であれ他のお店であれ信頼できるお店で買わないといけないと思うのですが・・・。
「そのジュエリーがその時代に作られたとどう判断するか?」、その整合性は自分自身で証明するのは立場上、難しいところがあります。
と言いますのも日本では宝石の鑑別等(その石が確かにダイヤモンドである、ルビーであると言った証明)は鑑別機関で科学的に行えるのですが、アンティークの証明は誰にもできないからです。
(そのような資格はないですし、おそらくいくつもの国のアンティークジュエリーを包括的に見れる人はプロでもほとんどいないからです)
時々、日本国内で「アンティーク証明書」と言う不思議な書類が出回っているようですが、以前これについても調べましたところ、とあるお店がバックにある機関でした。
それが悪いとは一概にはいえないのですが、鑑別と言うのは「中立性」がないと意味がないわけです。
またいわゆるライバル店の店主が「あーいった、こーいった」みたいな話はよく聞くことですが、(日本に限らずどこでも同じ)、これが中立性にかけがちになることはご想像の通りです。
とういことで鑑別というのは、一番良いのは信頼がおける、中立性をもった個人ではない団体が出すのが一番ふさわしいということになります。
費やす時間や費用、手間を考えますと、全ての作品に関して行うことはできませんが、例えば今回仕入れましたジュリアーノのクラスの作品はその価値があるでしょう。
それで色々伺っていましたら、基本的にそれは可能だと思う。
「ただもともとそうした証明書のようなものを出す目的って、ようするに通関のためなんだよね」
とはおっしゃていました。
イギリスは高価なアンティークジュエリーを持ち出す時に出国税を払う場合があります(ケースバイケースですがあとで免税のように返してもらうことも可能なケースも多いです)。
このときに年代を特定できる書類が必要になり、それをLAPADAが出しているわけです。
フランスにはこの仕組みはありませんから、イギリス特有の事情なわけです。
という訳で日本のお客様が本来求めているものと、もともとの目的は異なるものなのでしょうけれど、役にたつこともあるでしょう
またケースバイケースで色々相談してみたいと思っております。
ちなみにこのLAPADAには会員というものがあり、日本ではLAPADAの会員というと箔がつくような風潮がありますが・・・会員になる用件につきましても色々伺ってきましたが、
・5年以上の経験
・既に会員になっている2名からの推薦状
・出国税を既に払っている実績
・会員費を払うこと(ちなみにけっこう高い・・・)
と、とてもシンプルだよ、と言われてしまいました。
しかし私の場合、EU最後の出国地はUKでないことが多いんですよね。
そういった際の、出国税はどうなるのか・・・とかこのあたりはかなりテクニカルな話になりますね。
LAPADAの会員になるメリットもとそうした税金絡みの実務の上でのアドバイスなどをいただけるのが一番のメリットとのことです。
「会員であれば、必ずしもディーラーとして知識があるから優れているから」と日本では思われがちだと思いますが必ずしもそれを証明するものではないのです。
もっともそれだけしっかり実務を行っている=しっかりとしたディーラーである可能性は必然的に高くなるでしょう。
といったいわば組合的な要素も強い組織ですので、ロンドンの一流のディーラーさんも加入していない方もかなり多いです。
これはその方の実務の取り方(主に税金絡みの処理)による部分が多そうです。
ロンドンで常に大作を仕入れられている業者さんはやはり入るべきなのだろうと思いますが、私の場合微妙ですね。
でも色々相談できそうなところですし、とりあえずの疑問点は全て教えてくださって、偶然ですが出会えて幸運でした。
この日は、午後の終わりから市内で別のアポイント(既にアポイント済みでしたが、ちょうどオリンピアで確認の電話が入りました)。
急いでオリンピアを出てお昼も食べず(考えたら朝から何も食べてない!)、とあるディーラーさんの自宅へと向かいました。
そこでもまた実に面白い話を聞くことができましたが、長くなりましたのでまた次回!
いつもながらほとんどのジュエリーはパリで買い付け済みですので、ロンドンは良いものがあったら仕入れるぐらいのスタンスで望みます。
最初の日は着いただけ。
次の日は早朝から活動開始です!
朝の6時前に家を出るので、さすがにタクシーでないと危ないかなと思い前日の夜に予約しておいたのですが、一年で一番日の長い六月、何とこの時間でも既に外は日が燦々さしていました。
この日に向かうマーケットは数年前に一度訪れたぐらいで、しばらくご無沙汰していたのですが、一人だけ気になるディーラーさんがいたのでそれを目当てにいってきます。
彼女のところには相変わらず好みのものもちらほらありました。
しかし既に先約がいて、そのドイツ人に思いっきり好みのものをもっていかれてしまいしょんぼり・・・。
といってもこのポンド高ですので、本当に仕入れたかは微妙なところです。
ロンドンのマーケットは・・・
パリに比べるとまだまだずーっとモノが沢山あります。
状態の良いアンティークジュエリーも、年代の古いもの(19世紀後期以降は特に)もパリほどまでには枯渇はしていません。
ただし問題点を挙げますと・・・
-どこも品揃えが似たり寄ったりであることが多い。
(特徴的なジュエリーは一般的には少ないです)
-それは値段に関しても同じで、おのおのが好き勝手にやっているフランスとは異なり相場の値段と言うのがある程度フィックスしているような感じがある
(つまりお得品を見つけるのは難しい!)
-異様とも思えるポンド高
2010年にかなりの金額をイギリスの銀行に移していますから、ポンド高でも大丈夫と言えば大丈夫なのですが、であればユーロ圏で買った方が良い?と言う比較は常にあります。
私がイギリスに来るのは、フランスでは見つけることができない、また別の意味でスペシャルなジュエリーを探すためですから、ありきたりな美しいジュエリーがありきたりの値段であっても、なかなか食指は動かないのです。。。
その日の朝は、そのお目当てで行ったディーラーさんからリーズナブルな売れ筋の指輪を2点ほど選び退散します。
そして次は・・・買い付けではなくオリンピアと言う場所に向かいます。
ここで年に2度開催されている、高級アンティークフェアが目的です。
ここでは仕入れが目的ではなく(というのもプロが訪れる市場とまたお値段の付けられ方が異なりますので)、純粋な見学。
いわば「観光」です(^ ^)
会場は下記みたいな感じです。

さすがに世界中から素晴らしいアンティーク(ジュエリーに限らない)が集い、仕入れをする心配もないので楽しめました。
そしてここで仕事上の収穫もありました。
ふらふらしていましたら、LAPADAのブースを見つけ、担当者と色々話をしてきました。
LAPADAとは何かと言うと簡単に訳すと「英国骨董協会」。
ちょうど相談をしにいきたいと思っていたところです。
この仕事をしていて時々問題になるのは、そのアンティークの真偽をどのように証明するかということです。
もちろん私を信頼してもらえれば一番いいですし、基本的にやはり当店であれ他のお店であれ信頼できるお店で買わないといけないと思うのですが・・・。
「そのジュエリーがその時代に作られたとどう判断するか?」、その整合性は自分自身で証明するのは立場上、難しいところがあります。
と言いますのも日本では宝石の鑑別等(その石が確かにダイヤモンドである、ルビーであると言った証明)は鑑別機関で科学的に行えるのですが、アンティークの証明は誰にもできないからです。
(そのような資格はないですし、おそらくいくつもの国のアンティークジュエリーを包括的に見れる人はプロでもほとんどいないからです)
時々、日本国内で「アンティーク証明書」と言う不思議な書類が出回っているようですが、以前これについても調べましたところ、とあるお店がバックにある機関でした。
それが悪いとは一概にはいえないのですが、鑑別と言うのは「中立性」がないと意味がないわけです。
またいわゆるライバル店の店主が「あーいった、こーいった」みたいな話はよく聞くことですが、(日本に限らずどこでも同じ)、これが中立性にかけがちになることはご想像の通りです。
とういことで鑑別というのは、一番良いのは信頼がおける、中立性をもった個人ではない団体が出すのが一番ふさわしいということになります。
費やす時間や費用、手間を考えますと、全ての作品に関して行うことはできませんが、例えば今回仕入れましたジュリアーノのクラスの作品はその価値があるでしょう。
それで色々伺っていましたら、基本的にそれは可能だと思う。
「ただもともとそうした証明書のようなものを出す目的って、ようするに通関のためなんだよね」
とはおっしゃていました。
イギリスは高価なアンティークジュエリーを持ち出す時に出国税を払う場合があります(ケースバイケースですがあとで免税のように返してもらうことも可能なケースも多いです)。
このときに年代を特定できる書類が必要になり、それをLAPADAが出しているわけです。
フランスにはこの仕組みはありませんから、イギリス特有の事情なわけです。
という訳で日本のお客様が本来求めているものと、もともとの目的は異なるものなのでしょうけれど、役にたつこともあるでしょう
またケースバイケースで色々相談してみたいと思っております。
ちなみにこのLAPADAには会員というものがあり、日本ではLAPADAの会員というと箔がつくような風潮がありますが・・・会員になる用件につきましても色々伺ってきましたが、
・5年以上の経験
・既に会員になっている2名からの推薦状
・出国税を既に払っている実績
・会員費を払うこと(ちなみにけっこう高い・・・)
と、とてもシンプルだよ、と言われてしまいました。
しかし私の場合、EU最後の出国地はUKでないことが多いんですよね。
そういった際の、出国税はどうなるのか・・・とかこのあたりはかなりテクニカルな話になりますね。
LAPADAの会員になるメリットもとそうした税金絡みの実務の上でのアドバイスなどをいただけるのが一番のメリットとのことです。
「会員であれば、必ずしもディーラーとして知識があるから優れているから」と日本では思われがちだと思いますが必ずしもそれを証明するものではないのです。
もっともそれだけしっかり実務を行っている=しっかりとしたディーラーである可能性は必然的に高くなるでしょう。
といったいわば組合的な要素も強い組織ですので、ロンドンの一流のディーラーさんも加入していない方もかなり多いです。
これはその方の実務の取り方(主に税金絡みの処理)による部分が多そうです。
ロンドンで常に大作を仕入れられている業者さんはやはり入るべきなのだろうと思いますが、私の場合微妙ですね。
でも色々相談できそうなところですし、とりあえずの疑問点は全て教えてくださって、偶然ですが出会えて幸運でした。
この日は、午後の終わりから市内で別のアポイント(既にアポイント済みでしたが、ちょうどオリンピアで確認の電話が入りました)。
急いでオリンピアを出てお昼も食べず(考えたら朝から何も食べてない!)、とあるディーラーさんの自宅へと向かいました。
そこでもまた実に面白い話を聞くことができましたが、長くなりましたのでまた次回!
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