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2014.10.28 (Tue)

アンティークジュエリー買付け日記 「小雨のロンドン」

買い付け日記もそろそろ完成させないといけないですね。
さてロンドンです。

パリからロンドンは新幹線ユーロスターで約2時間半。
国境を越えると言う違いはあれども、東京ー大阪みたいな便利さです。
前回まではパリ→ロンドン→パリ→日本
と言うルートを取っていたのですが、いくら東京⇔大阪ぐらいの距離といっても移動はやはり疲れるなと思い、
今回はパリ→ロンドン→日本
にしました。
これでめでたく、ロンドンからパリに戻る片道分の移動がなくなるわけです。


結論としてこれは正解でした!
かつてはフランスで週末だけオープンしているアンティークの市場などがあったのでわざわざ土曜の午後にパリに戻ってきていたのですが、最近は大半をアポに切り替えているので土日にパリにいる必然性もなくなってきたのです。
いつもは10時間ぐらいしか滞在していなかったロンドンで今回は少しゆっくりできました。
もっとも買い付けはパリが大盛況で、ほとんどの軍資金(というより予定していた金額以上にパリで使い込んできてしまったので)ロンドンは市場調査ぐらいの気持ちで過ごしていました。


いつも以上にシビアに色々チェックしていましたら、ジュエリーの量自体はパリよりずーっと多いのですが、選んだのは3点だけ。
なかなか良い絞込みができました。
そして気持ちに余裕があった分、ひたすら色々見回っていました。
イギリスもなかなか良いものがあることはあるのですが価格的に高めだし、やはりフランスものは少なくて、もしかしたら次回以降来なくても良いかなとも思っています。
ただお一人だけ、ここのところ何度もお世話になっているディーラーさんがいまして、彼女のところで今回も良いジュエリーをいくつも見つけて、色々と話し込んでいると。
「今度は良かったら、ぜひ自宅に来てね」
と有難いご提案が。


ヨーロッパの人は心を許すと自宅に招待してくれるんですよね。
やはりその方が色々と商談もしやすいし、価格も抑えやすい。
彼女はとても知識も豊富で信頼できそうな人なので次回は、お宅訪問をさせていただいても良いかなとか思っています。
お宅訪問の場合、相手のお時間もいただいているので、ある程度の量の取引が見込めないと悪いかなとも思うところがあるのですが、ここ数回見る限りでは必ず良いものがありそう。
実は彼女もイタリアやフランスのアンティークジュエリーが好きで、その話でもりあがっていました。
「うんうん、私も基本はヴィクトリアンはやらないの」とかいっていて。
「イギリスものならエドワーディアンかジョージアン。あとはやはりフランスかイタリアのジュエリーがいいわよね」とかいっていて、本当にあなたイギリス人!?と言う感じです(笑)


と言うわけで何だかんだいって実りのあるロンドン滞在でした。
この日は朝早くから仕事をしていたのですがお昼ぐらいからは急に冷え込んでいて、小雨が降っていました。
ロンドンは本当に雨が似合う町です。
あまりに疲れていて集中を使い果たしていたので、一度ホテルに戻り約30分ぐらい仮眠をとって次の場所に向かいました。
ロンドンのホテルはとても小さな昔の建物を使ったプチホテル。
ヴィクトリアンな味わいある建物でしたが、中がかなり老朽化しており私はあまり好きではありませんでした。
私はどちらかと言うと建物に関しては、外はいくら歴史があってもきれいにリノベーションされているほうが好みです。
窓のたてつけが悪かったり、ドアも男性が体当たりしてしまえばドア破りできそうなのは、いくら古くて味わいがあるといわれても違うような・・・。
次回からやはりロンドンでプチホテルはやめようと思います。

londonhotel2.jpg

londonhotel.jpg

レトロなバスルーム。
ホテルのレビューを見る限りお好きな方はお好きみたいなのでまさに「好み」なのでしょう。
ホテルの人は優しく親切だったのでそれなりに満足していますけどね!
それにしてもロンドンのホテルはパリ以上に高い!
パリはたまたま良い割引をもらえていたというのもあるのですが、あのサンジェルマンのゴージャスなアパルトマンよりこの小さなロンドンのホテルの一室のほうが高いんですよ。

もっとも友人が、もうじき結婚のためにロンドンに渡る予定で、「買い付けの時に泊まっていいよー」と言われているので、次回からは彼女の家にとまらせてもらうかもしれません。
色々ロンドンも楽しみが増えてきました。


今回は飛行機のトラブルなど色々ありましたが、最終的に仕入れはとても順調。
しかも仕入れや現地の滞在に関しては、自分もハイテンションで血眼に探し回るというより、始終リラックスして楽しみながらすごせました。

ストライキがあることが分かった時に、「ストライキ自体は嫌だけれどイライラせずにストレスを抱えないで過ごそう!」と腹を括ったのでした。
それが功を奏したのだと思います。
人生には色々なことがおきますが、旅はそれをぎゅっと凝縮したような感じですね。
色々な人に親切にされてまた年月が長くなるにつれて、いろいろなお付き合いが深化していって、まさに「機が熟す」と言うのを感じました。
買い付け後も忙しいことは忙しいですが、やはりわりとリラックスをして過ごしています。
この仕事の楽しさも、年々深く味わえるようになってきてしあわせです。



j01051-3.jpg


本日アップしたシトリンのピアスです。

アンティークのシトリン(自然の状態で黄水晶だったもの)と、現在のシトリン(低品質のアメジストから加熱して着色)は、実にまったくの別物です。
現代の「天然シトリン」の人口処理には主に以下の3つがあげられます。

1:スモーキークォーツを加熱してシトリンにする。
ベースの水晶は天然なので「天然シトリン」という言い分。
この場合もちろん、黄色は人工的に作られたものです。

2:アメジストを加熱処理してシトリンにする。
アメジスト自体は天然のクォーツなので「天然シトリン」という言い分。
石は天然だけれど。色は人工的につけてるのです。

3:原石の段階で熱処理を加えたシトリンにする。
その原石を輸入して加工する加工国が、原石の段階で黄色だったのだから「天然シトリン」という言い分。
本来地表に出てきた時にすでに黄色のものこそが、天然のシトリンというべきですね・・・。

ところでシトリンの主要産地は、ブラジル、インド、チリ、ザンビア・ジンバブエ。
特に最高品質のシトリンは、ブラジル、スペイン、 マダガスカル、ロシアから採れるとされています。
ヨーロッパのアンティークジュエリーで使われているシトリンもおそらく、当時のその他の多くの宝石と同じくロシアから来ているものが多かったのではないかと考えられます。
近年ではベトナムからも良質のシトリンが発見されたそうですが、こうした東南アジアでの採掘は後年になってからですので、当時は当然出てきていません。


なかなかない色ですよね。
顔周りにこの明るい飴色は素敵です。
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