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2014.08.30 (Sat)

フランスのインボイスをお見せします!

フランス人と言うと皆さん、「大雑把」というイメージがあるでしょうか。
それは間違いなく合っています!
しかしながらフランスのビジネスに関する法律や規制は、意外なほどに日本のそれよりずっと細かいと思うことが多いです。

例えば、インボイス。
インボイスはいわば領収書代わりにもらうものなのですが、普段は社外秘なのですが、相手方の個人情報等にかかわる部分を覆った上で公開させていただきます。


invoice.jpg

これが私をはじめ、フランスでアンティークジュエリーを仕入れたときに必ずもらわないといけないインボイスです。

大雑把にご説明しますと。
左上の付箋で隠している部分:ここにディーラーさんの屋号、その下にRCと書かれていると思うのですが、ここに登記番号が書かれています。
皆さん、このスタンプはいつも変わらないのでスタンプをもっていて、それを押してくれます。

右上:ここにバイヤーの詳細を書きます。 私の東京のときの住所ですが、それが書かれています。
日本の住所はフランス人からするとちんぷんかんぷんなので、ここはいつも私が書くように言われます(この箇所はバイヤーが書いてOKなのです)

それから取引の日付。

それから一点ずつ詳細が書かれています。
例えば一番上は
un collier bayadere aregent francais perle de verre strass 1920
とかかれています。
大まかに訳せば
「ネックレス一点、 bayadere様式(インドの女性の踊り子のイメージからインスパイアされたアールデコ期のスタイル) 銀、 フランス製 ガラスビーズ ラインストーン 1920年頃」 


ということになります。
ちなみにor(金)とだけ書かれていてカラットがかかれていない場合は、18金を指します。
フランスの場合は18金がスタンダードだからです。

2枚つづりになっていて、1枚はディーラーさん保管、1枚を私にくれます。
そして上のほうにTVA 19.6% sur marque non recuperable ART 297 CGL
とあるのですがこれはフランスの付加価値税についての表記になります。
日本でいうところの消費税にあたるところです。


どうですか?意外に細かいでしょう?
これは手書きで書いてもらわないといけませんので、たくさん仕入れたときなどはかなりの量です。
間におしゃべりが入るので30分くらいかかることが多いです(笑)


ちなみに私たちがもらうのはこの紙だけでよいですが、ディーラーさんはこのインボイスをもとに、自分の台帳を持っており、照合して帳簿をつける必要があります。
これは国で決められた台帳でフォーマットがきまっており、商売をする場所では常にこの台帳を持参していないといけないことになっています。
そしてゴールドの含まれた商品は、必ず重量を記載して、重量が書かれたラベルを商品に貼ることが義務付けられています。
売却したときはそのラベルをはがして、台帳をと照合して、○月○日に○○に売却、○インボイス参照といった記載が必要です。
読んでいるだけで疲れてきませんか?


実際にフェア会場などになりますと警官のチェックがはいることがあります。
そのときに、台帳を持っていてきちんとした記載がされていないと、罰金等が科せられるのです。
ですから普段は非常にいい加減なフランス人ですが、こうした商売周りの書類は一点ずつ帳簿をつけてとても細かく処理していて、皆さん「大変!」と口をそろえておっしゃいます。

ちなみにインボイスや台帳は、スーパーや文房具店などで売られているわけではなく、免許を見せて決まったところで買うようになっています。
はんこを押せば、市販の領収書が使える日本よりずっと厳しいのです。
また台帳も日本ももちろん事業者は帳簿等をつける必要がありますが、おのおの好きなソフトやノートで管理していいですよね。
そして日本の場合、それは税務のためだけの書類であり、税務申告をきちんとすればあとは何も問題はないですね。
そのいきさつの中でパソコンで在庫を管理しようが、自分の手書きノートでしようか自由です。
また商売をするところでその台帳を持ち歩くなんてことは一切ありません!
フランスはこれも指定されており、その指定された台帳はすごく重そうで大変そうなのです。


どうでしょう?
自由の国フランスの意外な面ですよね。
実際にフランスの税制は私も複雑すぎて把握しきれていないですが聞くかぎり日本より数段細かいです。
完全な管理社会で、そうしたところは日本よりずっと官僚的なのですよ。


ところで何回か数人のお客様から
「フランスで仕入れって大変なんでしょう?
空港で仕入れたジュエリーを取り上げられたという話を(他の日本人ディーラーさんから)聞きましたけど」
って言われたことがあるのですが。


私は・・・ないです。

「なんで取り上げられたのですか?」
と伺いますと、いつもそれがイマイチはっきりしないようなのです。


私が察するにもしかするとその肝はこのインボイスかもしれません。
空港の税関で、外国人が貴金属を大量に持っているのを発見すれば怪しむわけです。
そのときにおそらくそれをきちんと説明できるインボイスがあれば問題ないと思うのですが、それが言語の関係などで巧くいかないのかもしれません。
要するに盗品でないとわかればOKなはずです。
あとは法律にひっかかりそうなもの(文化遺産や持ち出し禁止のものなど)でなければ・・・。
ちなみにインボイスは買い手が外国人でもフランス語で書かれます(なぜならフランスのお役人がチェックするものだからです)

それで馴染みのディーラーさんに「フランス語が読めない、例えば日本人やアメリカ人のディーラーさんにもこれを書いているの?」と聞くと
「そうだよ、僕もどうしているんだろうと思いながら書いている」
と言っていました。

フランス人の手書きはなかなか癖があり、今回ご紹介いたしましたインボイスは当店がお付き合いしている中でもおそらく最も字の綺麗なディーラーさんなのですが、もう暗号のような字もあります。
私も時々、顔をしかめながら解読していますのでこれはなかなかフランスの仕入れの難しい部分なのかもしれないですね。

ちなみにお隣、紳士の国イギリスのインボイスはもうそれはひどくいい加減です。
「領収書ちょうだい」というと
「はいよ」とノートの切れ端に
「ダイヤモンドの指輪 xxxポンド ○月○日 トーマス(仮名)」以上みたいな感じです。
このあたり色々面倒ですがなかなか面白い買い付けの一こまです。


下記は先日アップしましたアールヌーボーのペンダントです。
j01043-3.jpg

栞のように薄い瀟洒なペンダントでした。
宿り木がモチーフになっています。

宿り木はヨーロッパで古くから愛されてきた樹です。
真冬の荒野でも青々とした葉を持つ宿り木(ヤドギリ)。
春を待つ「精」が宿ると言われ、「再生」「永遠」のシンボルとして愛されてきました。

あっという間にSOLDです。ありがとうございます。
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