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2014.01.07 (Tue)

日本におけるアンティークジュエリーの現状

今日はちょっとまじめな話を書きたいと思います。

きっかけは年末に頂きましたいつも懇意にさせていただいております修理屋さんからの1本の電話です。

「やぶきさん、実は・・・情けない話なのですが、今後専業でアンティークの修理だけでやっていくことが難しくなるかもしれません」

いずれにしましても当店取り扱いのジュエリーはこれまでどおりお願いしますので影響はございません。
ご心配されないでくださいね。

うーん・・・、どういうことかといいますと。
彼はとても腕がよく
(日本でもこれまで一番アンティークジュエリーの修理を手がけている工房で実際に修理を長年手がけていて、その後独立された方です。)。
これまで当店を初め何店かの主に都内にありますアンティークジュエリーのお店から委託で修理を受けて生計を立てていました。
しかし特に大きかった取引先のいくつかが2013年に閉店、あるいは業務の大幅縮小をしたとのこと。
当然彼の方に来る仕事もぐっと減り、実質的な収入も大きくダウンしたとのことなのです。



私は一匹狼的いいますが、後に述べますが、この業界の雰囲気が好きでないところがあり。
あまりアンティークの催事などに出ておらず、現在の日本のこの業界全体の衰退と言うものをイマイチ理解しておらず、寝耳に水でした。

「でもそれだけの腕があるのだから何とかやっていけるでしょう?」
と言う私に色々「情報」を持っている彼が、この際だからとかなりぎりぎりのグレイな話をしてくれました。
それがこうです。

今、業界がかなり厳しくなっていて二極化している。
1)かなり力のあるところは、富裕層の方に特化して高額な商品に絞込み、顧客を絞り込んで何とか商売をしている。

2)そうでもないところは、大体下に流れてしまっている。
価格競争で厳しくなっており、よりカジュアルなものを扱う!

アンティークジュエリーはそもそも量産品ではありませんので、本来的にはこういうのは違うはずなのですが、色々なレベルのアンティークジュエリーが存在し、その玉石混合の中「お値段」だけにスポットがあたりがちで、どうしても下に引っ張られる傾向がある。

それが必ずしも悪いとは思いません、特に学生さんなど買えるものが限られるのは当然ですし、それがきっかけになりアンティークに興味を持ったりすることもあります。
若いうちはそれでも何かしら手に入れることが大事だったりすると思うのです、要は経験です。
人生のステージの中で手に入れるべきアンティークは変わっていきます。

そして最後がちょっと書きにくいところなのですが
3)それで苦境に陥ったお店が、微妙なラインのことをしているところもある。

例えば石だけが古いものなどを使って、現代製作した枠組みにアンティークらしい装飾を施すなど。
純粋に言えばオリジナルでアンティークでないものを手がけている。

これもその事情を細かく説明して販売する分にはあっても良いのかもしれませんが、それを「オリジナルでアンティーク」として売るのはいけないですね。

修理屋さんはなまじ腕が良いので、そんな仕事を持ちかけられることがあるのだが、アンティークジュエリー一筋でやってきたので、そうしたものには手を染めたくないと言うプライドがある。


彼の立場もあるでしょうから、もちろん私も具体的なお店の名前等は聞きませんでした。
興味もないです。
ただ結局、業界全体が良いものを販売しないと、良心がないと、結局はこの業界の衰退につながると思うので、憂慮はします。

日本は、アンティークジュエリーのファンがとても多い国の一つです。
それは日本の文化にもそういう繊細さの美学があって、やはり中間層の文化的教養レベルが高いと言うのも関係しているでしょう。
でももう一ついえるのは、過去にこの業界の先輩方が、とても良心的にキチンと仕事をしてきたからでもあります。


私は、この仕事をして8年目ぐらいだと思うのですが、古くから店を構えてがんばってこられた方々のことを基本的には尊敬しています。
人のこと、他のお店のことを悪く言うことは絶対しませんし、正直興味がないんです。
自分以外でも(テイストが異なったとしても、テイストは人によって違います、幸いなことに!)良いものを扱ってらっしゃる方はもちろんいますし、それを尊重したいと思っております。

時々お客様から「○○って言うお店どう思いますか?
あのお店のHPに掲載されていたあのジュエリーどう思いますか?」と言われることはありますが。
それを「いや、あれよくないですよ!是非当店のを」
と言うのとかいやですし、無理なので絶対しないです!

お客様からすると物足りないかもしれませんが、
「実物を見たことないですし、何ともいえないですね。
当店テイストのジュエリーではないので何とも言えませんが、○○さんが欲しいと思われてらっしゃるのであれば、良いのではないでしょうか?」
とお応えさせていただきます。
実際に見たこともないですし、その方がどういう仕入れをなさったかも分からないです。
本当に良いものかどうか、正直写真だけですと(写真にもよる)プロでも分かりにくいことが多いです。
無責任なことも言えないです。
もちろん他店の方を検討されているのは寂しいですよ、でもそれとこれとは別のことです。


あとね、結局いいものが残るんです。
色々巧みに他業者を蹴落としたつもりでも、それは結局自分に帰ってくるんですよ。
一時的には売り上げをあげられるかもしれない、でもそうやって人を悪くいって伸びたところは結局自身が不信を買います。
もともと大前提として、パイの小さな業界です。
スーパーのお客さんの取り合いのようなことしても意味がありません。
それより誰もが誠意を持って仕事をして、業界全体のファンを増やした方がいい。
しなくてはいけないことは、自分自身がいいものを扱うこと真摯に自分のお客さんに対応することです。
そうすればそれが残ります。

でも催事などに出て感じたのは、ものすごくそういうのが多いんです。
あることないこと・・・根も葉もなかったりする噂話に花が咲いている。。。

でも私の経験からしますと。
本当に良いものを扱ってらっしゃるディーラーさん&お店って、まず他人のお店のことをとやかく言いません。
どうでもいいのでしょうね。
本当にすごい人って謙虚です。


色々この業界のちょっとどろん、どよんとしたところを聞くと、嫌な気持ちになりますが。
せっかく美しいものを扱っているのですから自分は自分なりに、気持ちよく綺麗に仕事をしてくのみですね。
結局、パーソナリティに問題があるとこの仕事はうまくいきません。
フランスのディーラーさん(と言うより駆け出しの子)でやはり若干、お金周りやパーソナリティに問題のある子がいて。
一度ちょっとしたトラブルになり付き合いを控えていて(でも特にそれを誰かにいったりしていなかったのですが)、先日懇意にしている現地のディーラーさんが、あの子はあそこでもここでも問題を起こしているからダメだね、残念だけどこの仕事に向いてないんだよ、と向こうから言ってきました。
そういうものです。


昨日アップしました、今年最初の作品。
ガーネットのフラワーリングです。
2色のガーネットが使われているのですが、分かりますでしょうか?

中心のガーネットがちょっとざくろ色をした深い赤色、周囲を取り囲む6粒のガーネットがそれよりやや色の淡い少し紫色を帯びた色です。
これはもちろん故意に行われています。


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