さて買い付け日記の続きです。
3日目は午前中にディーラーさんがアパルトマンに来てくれて、午後はアポイントメントが2件。

まずは旧知のディーラーさんのお家にお邪魔します。
彼女は私が今、付き合っている中でも最も初期の頃からお世話になっているディーラーさんで、彼女がいたからこそここまで来ることができたと思う人です。
しかしここ数年彼女は、かなりヴィンテージジュエリーの方に転向してきています。
彼女の持っていたアンティークジュエリー(30年以上にわたって彼女がコレクションをしてきたジュエリー)は本当に良いものがあり、かつかなりリーズナブルに売ってくれましたが、それも私とおそらくもう数人のイギリス人のディーラーさんがせっせと買い付けたために、底がつきてしまいました。


近年では彼女のジュエリーのテイストはだいぶ異なってきていますので、仕事的にはわざわざお邪魔して時間を頂くこともないのですが、何と言っても旧知の仲ですからご挨拶的もかねてお邪魔します!
案の定、たくさん散らかった家(失礼!)をあさり、多くのジュエリーを見せてもらいましたがなかなか私好みのものが出てきません。
そしたら観念したように
「tomoko 、わざわざ来てもらって悪いし、先日旦那の親族の身辺整理で譲り受けた19世紀の中でもかなり古い時代のアンティークチェーンがあって、仕方ないからこれを売るわよ!」
と嬉しいご提案。


それがこちら(先日の東京でのサロンで販売済み)。
j01224-7.jpg
もう本当に綺麗なチェーンで、見たこともない珍しい網み方でした。
確かに旦那さんのお家、すごくいい家だもんなぁ。。。(実は彼女の旦那さんはちょっとした著名人!)

美しいアンティークチェーンは本当に最近出てこないので、さすがにこれはとっておこうかなと思って、でも一応東京でのサロンに持って行きましたら案の定あっという間に完売してしまいました。
しかも後から「やはりあれは売れてしまいましたよね?」と言うお声も。
いまや良いものは迷っている場合ではありません!


さてそれから少し時間があったのでオペラ座の裏のギャラリーラファイエットに簡単な用事をすませにいきます。
そうしましたら銃を持った警官が警備をしていてちょっと驚きました。
お客様にも「テロの影響は?」とよく聞かれましたが、それは今回色々なところで感じました。
実際地下鉄もよく「不審な荷物を見つけたので○号線はとめます」
とかしょっちゅうでした。


それからずっとお世話になりつつも、敷居が高すぎて(高級品が多いので)一度も取引にはいたってなかったディーラーさんのところに向かいます。
本当の初期の頃からお世話になっているにかかわらず、なんといってもパリでも屈指の高級ジュエリーを扱うディーラーさんですから、なかなかディールには結びつきにくかったのです。
でもずっとすごく良く覚えてくれていて、ずっと良くしていただいてきました。
人格的にも一流と思える人です。



私が彼らが付き合う世界中のディーラーの中でも一等若いということで、今後も長く付き合っていきたいし・・・と言うことで相当リーズナブルなお値段で記念すべき最初のお取引成立!

それがこちら。
本当に嬉しい。
色々な人に目をかけてもらってよくしてもらっている分、その期待に応えないといけないなと思っています。

j01225-1.jpg

19世紀中期のフランス製。

このディーラーさんのところには、今パリでもロンドンでも滅多に見ることすら叶わない「ロシアの珠玉のアンティークジュエリー」を運がよければ見ることができます。
彼の出自の関係であちら側の裕福な個人から買い取る出来るパイプがあるよう。
さすがにあまり詳しくは伺えなかったですけどね。
ファベルジェに代表されるような帝政ロシア時代のロシアンアンティークジュエリーには目を見張るものがあります。
ただしロシアの富裕層が台頭してからは、主にロンドンにあったロシアのアンティークジュエリーはことごとく東からきた、超リッチ層に買い占められてしまい、いまやほとんど見ることはできません。


今回もちろん予算の届く範囲ではないのですが(値段を聞きさえしませんでした、むしろ礼儀として・・・)、ロシアのアンティークジュエリーを見せて欲しいという私の依頼で一つ見せていただきました。
手にしたときの感想はヒンヤリ、重量感のある18金はないイエローゴールド。
とてもマットでラインは直線的、それは美しいいつまでも触れていたくなる珠玉のロシアのアンティークジュエリーでした。
あー、サンペテルスブルクに行きたい!


買い付けはまだまだ続きます。