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2016.01.16 (Sat)

フランスの地方アンティークジュエリー

日本で紹介されているアンティークジュエリーはとにかくイギリスのアンティークジュエリーが多いですね。
フランスのアンティークジュエリーというとそれだけでまず数が少なく、比較的紹介されているのが1900年前後以降のアンティークジュエリーで、特にアールヌーボーやアールデコのジュエリーが多いです。
(このあたりはイギリスのディーラーさんがフランスで仕入れて、ロンドンでも扱っているディーラーさんはます)
しかし例えば19世紀初頭の王政復古の時代のフランスのジュエリーなどはそもそも数が少ないので、滅多に日本では見ないです。

アンティークジュエリーの希少性はいくつかの要因があります。
一つは上記のように時代で、一番分かり易いですね。
そしてもちろんその時代を象徴するようなデザインでったり、宝石が大きかったりその時代にしか手に入らなかったり、そうしたことで価値はますます上がっていきます。

そしてフランスアンティークジュエリーでのもう一つの希少性は、おそらく日本では最も軽視されていることと思いますが、地方性です。
フランスは歴史的に見てもかなりの中央集権的国家で、フランスの地方の歴史は常に「中央との権力の駆け引き」の中で存在しました。
フランスのマーケットで地方ジュエリーの特徴が出たものは、非常に高く評価される要因の一つです。


しかしフランスは先も申しましたように中央の政治戦略が強く、フランスの地方特有の衣装や装飾品は、長年あまり研究の進まなかった分野でもあります。
下記はそうした中で、プロの中で良書と呼ばれている地方ジュエリーに関する文献ですが、残念ながら廃盤です。

bikouxregions.jpg



フランスのアンティークジュエリーの大半はパリを中心とした貴族社会を中心に展開します。
しかしその地方独特の発展が見られるジュエリーもあるのです。
地方ジュエリーがもっとも豊かにみられるのは南仏(プロバンス、プロヴァンス)で、それはこの地域に特有の文化、衣装が発達があったから、そして土地として恵まれて経済的に豊かであったからです。
この地域で作られたジュエリーをビジュードプロバンス(bijoux de provence)と呼びます。

南仏と言っても広いのですが、いわゆる「プロヴァンス地方」の西のエリア。
特にアルルは独自の地方文化を見せ、フランスの中央から独立していた時代も長く経済的に豊かな地域でしたので、この地域は地方ジュエリーを語る上でかかせません。
この地域で地方ジュエリーが大きく発展するのは、18世紀を通じてです。

下記は画家Antoine Raspal( 1738 - 181)によるアルルの女性の肖像画。
Granat美術館所蔵。
胸元にマルタの十字架、腕にブレスレット。
arlesienne.jpg

あとは港を持ち貿易の発展したマルセイユ。

実は私、このあたりに住んでいたんですよ。
南仏は幸運なことに地方特有のお祭りや、また地方衣装がよくこの地域の美術館に残っているんです。
この地域の肖像画などを見ても多くのことが分かります。

地方ジュエリーと中央のジュエリーとの発展とは大きな違いがあります。
それはパリを中心にしたジュエリーは常に、貴族社会から展開していること。
一方で地方のジュエリーは17世紀までは貴族の装飾様式を模しながら、既に18世紀初頭からその地域特有の発展を見せ、その地域の有力な商家がその主役になります。
そうした意味でいわゆる貴族的なソフィストケートとはまた異なった魅力を持つのです。

地中海沿岸地域は歴史的に見ても、女の子に婚礼のときに非常に多くのジュエリーをいわゆる持たせました。
何かあったときのために・・・という意味あいもありました。

地方ジュエリーは本当に面白いですよ。
書きたいことが満載なので、また小分けにして書きますね。
シェルシュミディでは比較的、南仏の方にパイプを持ってらっしゃるディーラーさんが何人かいらっしゃり、日本のアンティークショップにして珍しくフランスのアンティークジュエリーをご紹介できていると思います。
数が少ないので難しいのですが、今後もご紹介できるようがんばりますね。
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