2022.03.28 (Mon)
自分で出来る!「アンティークジュエリーのクリーニング方法」
アンティークジュエリーでもゴールドなどの貴金属が地金になったものは、日常使いの汚れでしたらご自身でクリーニングして頂けることが多いです。
クリーニングができるアンティークジュエリー:ゴールドやプラチナが地金のジュエリー。
*宝石もダイヤモンドやサファイヤなどは特に簡単ですが、真珠なども気を付けて頂ければ可能です。
クリーニングができないアンティークジュエリー:特にエナメルのジュエリー/時計等
簡単なクリーニング方法
1)中性洗剤
ママレモンなどの比較的安価でシンプルな中性洗剤がお薦め。
オーガニックなど凝ったものではなく、ドラッグストアでよく売っておりますママレモンなどの中性洗剤にされてください。
と言いますのも日常でつく汚れの大半は実は「油汚れ」であるからです。
ぬるま湯に中性洗剤を薄めて、軽く手でこすりながら洗い流す。
→「えっ、それだけ?」と思われるかもしれませんが、案外これですっきり綺麗になることも多いです。
2)こすり洗い
もう少ししつこい汚れの場合は、水気&こすり洗いがよく効きます。
下記のようなジュエリーフロスを水に軽くつけて、気になる部分を部分的にこすってください。
フロスを使うと、汚れは劇的に落ちます。
ただし基本的に研磨になりますので、汚れが落ちないところに部分的にアプローチ。
日常的なご使用というより汚れが目立つときのケアとしてお考え下さい。

3)ジュエリークリーナー
特別汚れの目立つときは、東急ハンズやアマゾンなどで売っている下記のようなジュエリークリーナーにつけて頂いても良いです。
ただこちらも基本的に研磨になりますので、数ヶ月に一度のお手入れを目安に頻繁にはご使用されないほうが良いです。
ジュエリークリーナーは「真珠やエメラルド、ムーンストーン」等のデリケートは宝石用と、そうではない宝石の入ったクリーナーに分かれていますのでお気をつけください。

4)シルバーフロス
銀が地金のジュエリーの場合、シルバージュエリーの洗浄液につけると汚れが落ちすぎて白っぽく(アンティークジュエリーの風合いが損なわれてしまう)ケースもあり、「按配」が難しいです。
シルバー系のジュエリーの場合、むしろ下記のようなシルバーフロスが按配が掴みやすくお薦めです。
私が使っているのは、下記のものです。

ちなみにシルバーを用いたアンティークジュエリーの将来的な黒ずみについて良くご質問を頂きますが、基本的にジュエリーで使われているシルバージュエリーは黒ずみは出づらいです。
銀製のカトラリーなどの黒ずみを思い浮かべて心配される方もいらっしゃるようなのですが、ジュエリーに用いられている銀は純度が高いです。
よほどの特殊な事情がない限り、ぎっしりと黒ずみがでるといったことはないです。
ちなみに私は銀製のアンティークジュエリー(商品)で何年も買い付けた時の手入れ以外は、何年も手入れなく保管しているものも多く持っていますが銀の色はそのままです。
5)超音波清浄機はゴールドが地金のものも含めてお避けください。
工房などでは注意をしながら(例えば気を付けるべき宝石に超音波清浄機があたらないようにしながら)使うことがありますが、一般の方がする場合はリスクいが高いので、避けてください。
「真珠のついたジュエリー」
現代、真珠のジュエリーを買うと「水気厳禁」と案内されることも多いようですが、特に1)の中性洗剤&ぬるま湯の洗浄は真珠のついたアンティークジュエリーでも可能です。
昔の真珠は天然のものはもちろん、養殖でも初期の頃のものなので巻きが厚く、丁寧に扱っていただけるようでしたらちょっとした水気や中性洗剤を使っていただいて退色することはまずないです。
現代の養殖真珠はおそろしく巻きが薄いので、それで水気厳禁となっているわけです。
「個人差」
実はジュエリーに付く汚れは、かなり個人差があります。
ご投薬や汗の体質によってかなり汚れやすい方もいらしゃいます。
18カラットゴールドのような入カラットゴールドが地金のものも6/24は他の金属ですし、特に昔のローズゴールドは紫っぽい色がでて汚れが付着してしまったように見えることも多いです。
多くはこすり洗いにより落ちます。
ディープな汚れ落としのコツ
ちょっとしたコツとしてものすごく長い間放置していたような強固な汚れは何度かに分けてクリーニングすると落ちやすいです。
焦って一気にきれいにしよう!と思わず数回に分けてみると案外すんなり落ちたりします。
海外(特にフランス!)で仕入れると、時々ものすごい汚れが放置されたアンティークジュエリーに出くわすことがありますが(ハイジュエリーであってもあります、基本的にそのあたり大らかな国民性です)、基本的に当店のジュエリーは一度当店か工房のほうでクリーニングが入っていますので、皆さんがそんなディープな汚れのついたアンティークジュエリーに出会うことはあまりないかもしれないですが・・・。
「免責」
以上は私が長年日常的にアンティークジュエリーを扱ってきた経験から、また職人さんととても仲が良いのですがいろいろ教えていただいた経緯から学んだことです。
100%すべてのジュエリーにあてあはまるわけではなく、扱いにもよるところが多いです。
多くの方のご参考になるのではと思い書かせて頂きましたが、最後は自己責任でお願いできましたら幸いです。
2020.02.07 (Fri)
2月の誕生石 アメジスト
紫色は日本で古くから「高貴な色」として愛されてきたことから、アメジストはをお好きな宝石の一つに挙げられるお客様は多いです。
アメジストというと紫色。
アンティークのアメジストの紫色の幅は広いです。
深い紫色からラベンダーのような淡い紫色、少しピンクを帯びた紫色。
好みもありますが、一般的に色が深く一様に見られるアメジストほど良質とされています。
アメジストのおすすめのジュエリーをまとめてみました。
1)大粒の濃い紫色のアメジストのリング。
このくっきりとした紫色のアメジストはおそらくロシア産です。
指輪もロシア製の可能性が高いです。

2)彫りものが施されたアメジストのペンダント。
アメジストの硬度は7です。
十分な硬さがありながら、彫り物も可能な宝石。
ガーネットと並んでアメジストは、アンティークジュエリーでカメオやインタリオに重用されてきた宝石です。

下記はまだアップできていないのですが、
3)イギリス製のアメジストのドラップリーネックレス。
アメジストのくっきりとした紫色が魅力です。

三種三様ですね。
硬度も十分にあり良質な石が比較的採れたアメジストは、アンティークジュエリーでも様々なバリエーションのジュエリーを楽しめる宝石です。
2020.02.02 (Sun)
ヴァレンタインとアンティークジュエリー
日本ですと2/14に女性から男性へチョコレート。
ホワイトデーの3/14にお返しという形になっていますね。
フランスでは2.14が愛の日!
愛があればどんな関係でも(例えば親子とかファミリー)も、みなが愛をお祝いします。
「ママ、大好きだよ!」みたいなカードをこどもが送ることもしばしばです。
なんかかわいいですね。
男性から女性に2.14にジュエリーのプレゼントも多く、2月になるとディーラーさんは「st valentine向けにこれどう?」などといってジュエリーを薦めてきます。
特にどんなジュエリーがヴァレンタイン向きなのかといいますと、
キューピッド、ハート
あたりが王道です。
ということでシェルシュミディからお薦めしたいヴァレンタインジュエリー(日本では2.14に女性にジュエリーを贈られる方は少数派と思いますが、フランス流のヴァレンタイン夢があると思いますので)をご紹介します。
まず愛の神、キューピッド。
キューピッドほど「愛」を表すジュエリーはありませんね。
背中に翼をつけて、恋の矢を撃つキューピッド。
キューピッドをモチーフにしたアンティークジュエリーはそれほど多くありません。

次にハート。
下記などはダブルハートと(心を開く)鍵までが描かれたなんともヴァレンタイン向けの作品です。

下記はデマントイドガーネットのハートのペンダント。
ロケットにもなっていてロマンチックです。

また今、まだアップできていないジュエリーでいくつかハートモチーフのものがありましたので、写真だけご紹介します。
赤いエナメルが愛らしいペンダントネックレス。

下記も紫エナメルが愛らしいエナメルのペンダントでこちらはロケットになっています。

両方ともなるべく早くアップするようにしますね。
2017.05.17 (Wed)
2017年のファッショントジュエリーの動向
「国際宝飾展」へは東京で出展したこともあるのですが、このイベントは基本的に卸し向けのイベントですので、エンドユーザー様に直接売りたい当店としましては、ビジネスとしてはあまり合致いたしません。
本日は受けたいセミナーがあったのでいってまいりました。
エストネーションという大人の女性向けのお洋服のセレクトショップご存知でしょうか?
好きなお店で東京でよくいっていて、関西にきてからは大阪のお店をのぞいたりしていたのですが、なんと1年ほど前に京都にも出来ました☆
エスとネーションのカリスマバイヤーでらっしゃる、吉田さんのお話だったので、「これは行かねば!」と思いでかけてきたわけです。
あっという間に時間の過ぎる楽しいお話でした。
2017年の春夏のジュエリーの特徴は
・アシメトリー(左右非対称)
・大ぶりピアス(時には肩まで着くぐらいの長さ)
実はこうしたピアス、吉田さんが見て下さったスライドを見て思わずごくり。
18世紀のイベリア半島(現在のスペイン&ポルトガルあたり)のピアスに類似しています。

(c) SJ Phillips
1780年頃のポルトガル製。
SJ PhillipsはロンドンでNO1、いや世界でNO1と言ってよいアンティークジュエリーのお店でしたが、先日オフィス機能だけを残して長い年月に幕を閉じてしまいました。
当店でお付き合いのあるロンドンベースのディーラーさんと、SJ Philippisの実務を取り仕切っている方が仲良しで、いくつかこのディーラーさんを通じて流れてきたものを、前回の買い付けで仕入れています。
実は前回の買い付けでもこの時代のとても長いピアスを見つけまして、大変気に入ったのですが長い年月を経たもので何と片耳だったのです!
それでかなりリーズナブルに仕入れられそうだったのですが、さすがに片方だけだとなぁ・・・・と思ってやめたのですが、ここ数年、片耳ピアスが相当流行しているようで、仕入れておけばよかった!?
ピアスは今期とても熱いそうで、中でもフープピアスや、長く揺れるタイプのピアスは今年の装いによくあうそうです。
アンティークピアスでは基本的に長めのものが多いですから、うまく選んでいただけると楽しそうです。
長いといえば、下記のピアスは売却済みですが当店で扱った中で一番長かったピアスです!

あと流行色としてはブルー。
深海色と呼ばれるターコイズブルーがこの春夏のトレンドカラーだとか。
そういえば当店でも最近、長年在庫として持っていたブルー系のジュエリーにお問い合わせや注文が集中しています。
皆様、無意識のうちにトレンドをアンティークジュエリーにおいても取り入れて下さっているのかもしれないですね。
ネックレスはロングネックレス、(華奢めの)チェーン。
真珠を用いたもの、また短めのチョーカーに流行の兆しがあるそうです。
ふむふむ、アンティークジュエリーでもうまく使っていただけるものがありそうですね。
秋冬のキーワードは「British taste」だそう。
イギリスのマニッシュで品格のあるファッションが流行しそうな兆しだとか。
品格のあるイギリスのアンティークジュエリーで、うまくあわせていただけるものもありそうですね。
アンティークはもう100年以上、変わらないもの。
一方で現代ファッションはシーズンごとに、流行の色やシルエット等が変わりますね。
一方でファッションは循環するもので、アンティークジュエリーには陳腐にならない美しさがありますから、現代のお洋服でトレンドを入れつつうまくあわせていただくとオリジナルなアレンジが可能そうです。
とても参考になるお話でした。
買い付けの時などにも参考にしたいと思います!
2017.01.05 (Thu)
謹賀新年 1月の誕生石ガーネットのパワー
旧年中も皆様に、大変お世話になりました。
いつも励ましてくださりありがとうございます
今年も皆様にとって、良い年になりますように。
シェルシュミディもますますがんばっていきますよ!
さて1月になり、1月の誕生石と言えばガーネットです。
ガーネットはアンティークジュエリーでダイヤモンドに次いで、もっとも登場する機会が多い宝石かと思います。
それだけ愛された宝石です。
少し話は変わりますが、私生活で最近ちょっと元気をなくしている友達がいて、先日その子とご飯を食べていたときのこと。
あまり元気がなくてしゃべらない彼女に
「ねぇ、ガーネットのジュエリーをつけるといいよ!」
と言っていました。
これは自然に口をついて出た言葉で、ガーネットはエネルギーが落ちているときに力をもらえるような気が私自身しているからです。
古くから時の権力者に愛されたガーネット。
ガーネットの深く赤い石は、古代から疫病に強い効力があると信じられてきました。
古代エジプト人及びローマ人は血液関係の病気の治療にガーネットを使い、中世ヨーロッパでは、ガーネットを持つと友情に恵まれ、権力の座につくとされ、支配者層に好まれました。
洞察力が増すとも言われており、忙し動きまわる中で疲れがちな現代人にピッタリの宝石ともいえます。
ガーネットはアンティークジュエリーでも色々なジュエリーで見つけることができますが、そのようなパワーチャージの意味ではやはり一番お薦めは指輪でしょうか。
指輪は、着けている人の目にもっとも目に入るジュエリーですからね。
ピアスやネックレスが周囲の目を楽しませてくれるのに対して(鏡にジュエリーをしている自身が目に入ったときはやはりパワーが入りますが)、指輪はいわば、自分のためにつけるジュエリーだと思います。
1月、いつも以上にぜひガーネットにご注目ください!
下記は先日アップした三つ葉のペルピニャンガーネットリング。

こちらは可憐で本当に愛らしいガーネットのリングです。

しっかりとしたボリュームがほしいとき、ファッショナブルに使えるリングです。

2016.09.25 (Sun)
ロングチェーンネックレス(ソートワール、18ctゴールド)
「アールデコロングネックレス(ソートワール、18ctゴールド)」

コンセプトの珍しいジュエリーで、しかもとても長いので、写真で伝えるのが難しいジュエリーなのですが、それにしてもちょっと分かりずらかったかと思いますので、追加写真と共に補足させていただきます。
1)160センチ程ありますので、1重でロングはもちろん2重にも場合によっては3重も可能です。
留め具のところは着脱可能になっています。
留め具を使うことで、二重にするときなどはかなりシルエットをスムーズにつけていただきやすいです。




2)このロングチェーンの特徴は何と言っても、オリジナルのチェーン通し。
お花の形をしたチェーンに括りつけられているモチーフです。
この「チェーン通し」は手で触れて動かすことが可能です。
例えば同じ一重でも「チェーン通し」の位置を変えていくことで、異なる表情を作ることができます。
下記は少しずつ、チェーン通しを下げていったイメージです。
チェーン通しを真ん中にしないで、左右のどちらか上部に持ってきたり、あるいは後ろにもっていって、ちょっと後姿にポイントをつけるといったアレンジも可能です。



3)留め具部分は外れますが、このチェーン通しはチェーンから外れないように作られています(紛失しないためです)
このチェーンはその類稀な長さと、可動できるチェーン通しによって、アレンジが無限大に作れるネックレスです。
1つで何度もおいしい!
今までの写真や文章では、このチェーンの魅力をまったく伝えられていなかったですね。
おしゃれ上級者の方にぜひ色々トライしていただきたいチェーンです。
2016.08.06 (Sat)
アンティーク カルティエ サインの重要性
「カルティエ」、その言葉はいつの時代のどこの国の女性もときめかせるますね。



商品の説明は、HPの方で書かせていただきましたので、今回はカルティエにまつわるプチエピソードを書きたいと思います。
HPにも書きましたが、カルティエなどのグランメゾンの作品はやはりサインがあるかないかがかなり大きなポイントになってきます。
サインがない場合は、仮にカルティエと相当確かに断定できる場合も価格的にだいぶ低くなりますが、それでもそれをきちんと証明できればまた話は変わってきます。
現地のディーラーさんから面白い話を聞きました。
その方の、実話です。
Aさんは、友人のディーラーさんからある日相談を受けます。
「先日買い取ったアールデコのダイヤモンドのブレスレット、カルティエ製かもしれない」と。
残念ながらサインははいっていなかったそうですが、Aさんは以前に同時代のカルティエのかなり似ているジュエリーを扱ったこともあり確信があったそうです。
ただし問題は、それをどうやってカルティエ製のアンティークジュエリーであるかと証明することです。
その友人の方には、それを証明する術がなかったようで、うまく利益が出たらその利益を分配するから・・・という約束で、この業界で色々なパイプを持っている彼に一任していったそうです。
どうしたかというと非常にオーソドックスな方法ですが、カルティエ社にうまく確認を取ったそうです。
ただそれは誰でも出来る技ではなく、もともと知り合いがいたようでパイプがあったからこそ可能だったとのこと。
晴れて友人ディーラーは、仕入れた額よりずっと高価な価格で彼の上客にそのブレスレットを売却し(カルティエ製と言うことが分かったのだから当然です)、Aさんにも利益の半分近くが支払われたとのこと。
そんなにうまくことが運ぶことは、この世界でも滅多にないことですが、実によい商売になったと言う話です。
「でもまぁ、そんなことは滅多にないから、きちんとサインが入ってカルティエにこしたことはないね」と盛り上がったという話でもあります!
2016.07.18 (Mon)
7月の誕生石 ルビーのアンティークジュエリー
先日ちょっと教わったのが、熱中症で頭がいたくなったときは、涼しい部屋で横になるのはもちろんですが、そのときに口に氷砂糖を含むと良いそうです。
どうか皆様、お気をつけください。
さて7月と言えば、ルビー。
当店でもまだこれが売り切れずにあったとは!と思う素晴らしいルビーのリングがございます。
例えばこちらの大粒ルビーはさすがの存在感です。

今日は私物でちょっと面白いルビーのリングがあるので、それもご紹介したいともいます。
アンティークではないので売り物ではないのですが、これは私が家族から受け継いだリングで、60年代の日本で製作されたリングです。


当時の日本で製作されたものですのでそれほどデザインは垢抜けていませんが、良い意味で驚きなのがルビーです。
ルビーが案外、良い色をしていて質も(今ほど)悪くない。
現代は、それなりの質のルビーを手に入れることすら年月が過ぎていくことに、難しくなってきています。
特にある程度大きさがある、天然無加工のものとなりますと、ある意味アンティークルビー以外では一般の方が手を出せる値段ではなくなってきています。
アンティークのルビーも再評価が進み価格が高騰していますが、とはいえそれでもまだ現代のルビーのクオリティー対値段を考えますとリーズナブルに手に入れることができます。
それもいつまで・・・と言った感じではございますが、わずか50年ほど前でも状況は相当異なったのですから、興味深いですね。
夏の太陽のもとで燦々と輝くルビー。
誕生石はやはりその季節にもっともきれいに見える宝石なのだと、よく思います。
ルビー好きな方はぜひ、ぜひアンティークでお探しになられてください。
下記の二点のリングもデザインが珍しく、とてもお薦めのリングです。

こちらはお値段もリーズナブルでこれまでに何度かお問い合わせをいただき、それでもなぜかまだある!
きっと運命の方をお待ちしているリングです。

2016.02.20 (Sat)
アンティーク指輪のサイズ直し サイズダウンの一例
ご購入をご希望いただくお客様が数人いらっしゃったのですが17号とかなり大きめのサイズで、たまたまご興味を持ってくださったお客様が細身の方が多く、複数の方から9-11号の間でサイズダウンのご相談を受けました。
このようにかなり大きなサイズダウンになりますと、仕上がりの形が完璧な真円にはなりません。
4号以上のサイズダウンになりますと、少し円形を押しつぶしたような形になります。
ただこの「円形をちょっと押しつぶしたような形」って言葉で説明されても、なかなか想像しにくいものだと思います。
今回、11号へと6号ダウンいたしましたのでご紹介いたしましょう。
Before(17号)


After (11号)


少し円形がギュッとなったのが分かるでしょうか?
刻印も微妙な位置にありなかなか難しかったのですが、綺麗に直していただけました。
お店側としましてはご説明の際に慎重にご案内申し上げるのですが、サイズダウンの場合はこのように少し押しつぶしたような形がむしろ愛らしく可愛い仕上がりになることが多いです。
ですが6号を超えてくるサイズアップやダウン(特にサイズアップの場合)はかなりシルエット的に難しくなってくるのは事実です。
ケースバイケースですので、ご相談いただけましたら幸いです。
2016.01.16 (Sat)
フランスの地方アンティークジュエリー
フランスのアンティークジュエリーというとそれだけでまず数が少なく、比較的紹介されているのが1900年前後以降のアンティークジュエリーで、特にアールヌーボーやアールデコのジュエリーが多いです。
(このあたりはイギリスのディーラーさんがフランスで仕入れて、ロンドンでも扱っているディーラーさんはます)
しかし例えば19世紀初頭の王政復古の時代のフランスのジュエリーなどはそもそも数が少ないので、滅多に日本では見ないです。
アンティークジュエリーの希少性はいくつかの要因があります。
一つは上記のように時代で、一番分かり易いですね。
そしてもちろんその時代を象徴するようなデザインでったり、宝石が大きかったりその時代にしか手に入らなかったり、そうしたことで価値はますます上がっていきます。
そしてフランスアンティークジュエリーでのもう一つの希少性は、おそらく日本では最も軽視されていることと思いますが、地方性です。
フランスは歴史的に見てもかなりの中央集権的国家で、フランスの地方の歴史は常に「中央との権力の駆け引き」の中で存在しました。
フランスのマーケットで地方ジュエリーの特徴が出たものは、非常に高く評価される要因の一つです。
しかしフランスは先も申しましたように中央の政治戦略が強く、フランスの地方特有の衣装や装飾品は、長年あまり研究の進まなかった分野でもあります。
下記はそうした中で、プロの中で良書と呼ばれている地方ジュエリーに関する文献ですが、残念ながら廃盤です。

フランスのアンティークジュエリーの大半はパリを中心とした貴族社会を中心に展開します。
しかしその地方独特の発展が見られるジュエリーもあるのです。
地方ジュエリーがもっとも豊かにみられるのは南仏(プロバンス、プロヴァンス)で、それはこの地域に特有の文化、衣装が発達があったから、そして土地として恵まれて経済的に豊かであったからです。
この地域で作られたジュエリーをビジュードプロバンス(bijoux de provence)と呼びます。
南仏と言っても広いのですが、いわゆる「プロヴァンス地方」の西のエリア。
特にアルルは独自の地方文化を見せ、フランスの中央から独立していた時代も長く経済的に豊かな地域でしたので、この地域は地方ジュエリーを語る上でかかせません。
この地域で地方ジュエリーが大きく発展するのは、18世紀を通じてです。
下記は画家Antoine Raspal( 1738 - 181)によるアルルの女性の肖像画。
Granat美術館所蔵。
胸元にマルタの十字架、腕にブレスレット。

あとは港を持ち貿易の発展したマルセイユ。
実は私、このあたりに住んでいたんですよ。
南仏は幸運なことに地方特有のお祭りや、また地方衣装がよくこの地域の美術館に残っているんです。
この地域の肖像画などを見ても多くのことが分かります。
地方ジュエリーと中央のジュエリーとの発展とは大きな違いがあります。
それはパリを中心にしたジュエリーは常に、貴族社会から展開していること。
一方で地方のジュエリーは17世紀までは貴族の装飾様式を模しながら、既に18世紀初頭からその地域特有の発展を見せ、その地域の有力な商家がその主役になります。
そうした意味でいわゆる貴族的なソフィストケートとはまた異なった魅力を持つのです。
地中海沿岸地域は歴史的に見ても、女の子に婚礼のときに非常に多くのジュエリーをいわゆる持たせました。
何かあったときのために・・・という意味あいもありました。
地方ジュエリーは本当に面白いですよ。
書きたいことが満載なので、また小分けにして書きますね。
シェルシュミディでは比較的、南仏の方にパイプを持ってらっしゃるディーラーさんが何人かいらっしゃり、日本のアンティークショップにして珍しくフランスのアンティークジュエリーをご紹介できていると思います。
数が少ないので難しいのですが、今後もご紹介できるようがんばりますね。
2016.01.12 (Tue)
1月の誕生石 ガーネットのアンティークジュエリー
アンティークジュエリーに関して言えば、1月生まれの方はラッキーです。
色石のなかでもっともバラエティに富んだアンティークジュエリーを見つけることができるからです。
今日、ジュエリーの整理整頓していたとき、ふと思いついてガーネットのジュエリーをいくつかそろえて写真を撮ってみました。

まったく光を当てていない状態なので、それほど綺麗に見えないかもしれませんが、こうしてみると圧巻ですよね。
全部欲しい?
そうですね、私もです!
アンティークガーネットは一言で言うとざくろ色のような色が多いのですが、一概には言えずピンクっぽい色、、赤紫色。
そしてガーネットは実は赤系の色だけでなく、緑色なども存在します。
下記は当店にて販売済みですがやはり緑色の、グリーングロッシュラーガーネットです。

集合写真?のいずれのジュエリーもお薦めですが、あえて数点、本当になぜまだあるのだろうと思うジュエリーがこちらです。
素晴らしいカボションカットのガーネット。
カボションカットは、光の反射に頼らない分、資質の良い宝石が必要になります。
ピンクを帯びた明るい、透明感のある色がとても綺麗です。
こちらのピアスは本当に不思議で、今まで何度となく売れかかり、そしてなぜかまだ私の手元にあるんです!

あと下記のリング。
こちらは小ぶりで何とも言えず愛らしい!

両方とも写真がよくないので、近いうちに撮りなおさなくっちゃ・・・、と思いつつなかなか手が伸ばせていない状態です。
今年の目標の一つが、写真なんですけどね。
強力な守護の力を持つと信じられきたガーネット。
古くから権力者にも愛されてきたのはそのためです。
もし誕生石のジュエリーを選ばれるのであれば、ぜひアンティークジュエリーで探されてくださいね。
2015.11.09 (Mon)
Perle du Japon (日本の真珠?)
当店のお客様で真珠をこよなく愛される方から、興味深い昔のデッサンを頂きました。
「Perles du Japon(直訳しますと「日本の真珠」)」と書いてあるんですけど、日本の(養殖)真珠はこの時代から一般的に流通していたのでしょうか?
と疑問に思われたようです。
「表面」

「裏面」

色々と読み進めていくとどうも変です。
ちょうど忙しい時期だったということもあり、なんだか変だなーと思い少ししてから集中して読みましたがやはり変です。
なぜなら説明文を乱暴に直訳しますと、
「日本の真珠(Perles du Japon)、青い250グラムの丸箱で売ります。
認可取得済み
(marque deposeというのは色々な分野で使われる言葉で、そのブランドなどが確かに認可されたことを示す言葉です)
1889-1900年パリ万博金賞受賞。
Perles du japon(日本の真珠)は流行している一方、探されています。
(話題になっているが需要が供給に追いついていないといった感じなのでしょう)。
このおいしい食材は、これまでの様々なフランスのポタージュのいずれにも類似していません。
その名前が示すように、調理をするとこれ(perles du japon)はその形といい透明感といい、本当に真珠に似ています。
すべての食材屋で販売します。」
お粗末な翻訳ですがこんな感じです。
日本の真珠が食材屋さんで手に入る?
ポタージュ??
いったい何のことを言ってるのだろう?と頭の中が???になります。
答えはこちらでした。
なんとタピオカ!

この時代にフランスを席捲したエギゾティックな食べ物を「日本の真珠(perles du japon)」と命名していたのです。
その色合いや形、またこれまで見たこともない不思議な食べ物は、極東の未知なる国、「日本」を連想させたのでしょう。
日本でもそうですが、海外でも外国名を取り入れた面白い商品名というのはあるものです。
イギリスでは近年、「極度乾燥(しなさい)」というブランドも流行していますね。
そして今でも、タピオカはフランスでperles du japon(日本の真珠)と呼ばれ続けているようです。
すっかりネーミングに騙されてしまいました!
ちょっと面白い発見でした。
2015.09.26 (Sat)
9月の誕生石、ブルーサファイヤのアンティークジュエリー
ブルーサファイヤは人気のある宝石の一つですよね。
当店でもお問い合わせを多くいただく宝石の一つです。
アンティークジュエリーにおいてブルーサファイヤは「いろいろな色合いの青」が存在します。
現代のサファイヤに比べますと少し濃い色の青が多いです。
例えば下記のような色です。
これはとても質の良いブルーサファイヤですが、現代のいわゆるサファイヤ色とはまた少しことなりますね。

濃い青にちなんでお話しますと、1930年ぐらいのジュエリーになりますと濃い青を超えて、ほとんど黒のように見えるサファイヤを見ることがあります。
大きさのわりにリーズナブルなのですが、これはオーストラリア産オパールで、これを美しいと思うかどうかはそのジュエリーやその方の感性にもよるでしょう。
私は正直、あまり好きではなく、これまで扱ったことがありません。
価値としても本来のブルーサファイヤとは異なってきますので、そこのあたりを留意してご購入されると良いと思います。
当店では今、ブルーサファイヤを用いたアンティークリングがいくつか在庫がございます。
ブルーサファイヤのアンティークジュエリーは実はかなり希少で、これだけ揃っているのは比較的珍しいです。
偶然ですがこれらの指輪は全部同じディーラーさんから仕入れていました。
この方、サファイヤが好きなのですよ、ムッシューサファイヤです。
こうして見ますと本当に三種三様ですね。
皆様のお好みはいかがでしょう?
個人的に一番好きなのはマーキーズのブルーサファイヤのリングです。
完成度の高いマーキーズ、かっこいいです。
日本女性はマーキーズのリングには慎重な方が多いのである意味売りにくいアイテムといえないこともないですが、アンティークならではのデザインとそのかっこよさに私はマーキーズに弱いです。



2015.05.20 (Wed)
5月の誕生石 エメラルドのアンティークジュエリー
5月と言えば新緑で、新緑と言えばミドリ、ミドリといえばエメラルド。
5月の誕生石がエメラルドと言うのは、しっくりきますね。
何を隠そう、実は私も5月生まれ。
若いころは、自分には緑色が似合わないようでピンと来ていなかったのですが、やはり誕生石は特別なものです。
そして不思議なもので年齢を重ねれば重ねるほど、エメラルドがとても好きになり、そして自然に(多分・・・)身に着けられるようになりました!
現代、誕生石のことを知らない女性はいないでしょう。
自分の誕生石を身に着けることで、幸運がもたらされると言われていますね。
ではこうした誕生石の考えがいつに遡るのかと言いますと、その迷信は中世に遡ります。
当時ある種の宝石はある種の加護を授け、その宝石を身に着ける人を癒すと信じられていました。
それが誕生石の考えのもとになりました。
特に昔から貴重とされているカラーストーンには、やはり昔の人がその力を信じただけのことはある力がみなぎっているように感じます。
今では「ジュエリーと言えばダイヤモンド」のイメージが強いかもしれませんが、実はダイヤモンドより先に発展したのがカラーストーンのジュエリーです。
なぜならダイヤモンドがカッティングによって美しく見えるのに対して、カラーストーンはラフカットでもジュエリーにするのにふさわしい美しさがでるからです。
特に古くから珍重されたのが、エメラルド、ブルーサファイヤ、ルビーの3つの貴石です。
そしてこれらの3つの宝石は、初期の頃に見つかった鉱山が比較的長く、アンティークジュエリーが製造された長い年月の間ずっと重要な生産地であり続けたという、珍しい宝石でもあります。
ルビー、サファイヤ、エメラルドの初期の頃の鉱山はルネサンス期までには見つかっており、このうちエジプトエメラルドの鉱山以外は、その後も数世紀に渡り重要な供給源でありつづけました。
今、当店で所有しているエメラルドのジュエリーでお薦めのジュエリーを紹介したいと思います。
ちょうど写真を撮りなおした下記の二点!
アンティークのエメラルドは色の調整がなされないため、透明度の低いエメラルドも多い中、こちらのエメラルドは自然なままでとても美しい色です。


こちらは少し淡い色のエメラルド、そして金細工がとても美しいジュエリー。

どうぞ引き続き気持ちの良い5月の日々をお過ごしください!
2015.04.11 (Sat)
アンティークジュエリーでホワイトゴールドはいつから存在するか?
これはおそらく、日本でアンティークジュエリーをご紹介する方が、イギリスのアンティークを中心に学ばれていて、そこに知識が偏っているということもあるのかなと思っています。
お国が違えば異なることも多いのか!?あるいは単なるミスなのか?
本当のところ原因はよく分からないのですが、間違っていることが書かれていることはよくあります。
また現地のディーラーさんでも正確な知識を持っている人は極一握りで、知識と言う意味ではかなり適当な方も実は多いです。
知識が適当でも良いものを持っているディーラーさんもいて(代々アンティーク屋さんをやっていたりして自然に良いものも入るルートがある等)、そこは使い分けることが必要なのだと私もつねづね思っています。
そして現地で何か聞いても、必ず文献等で確認し、聞いたことが事実なのかを具体例を共に検証していくことが必要です。
ちなみに文献は日本の専門書より、英仏の信頼できる文献等ですることが重要です。
ジュエリー専門のオークション会社が出した出品リストも本として売られているものがありも、必ずエキスパートがその名前に責任を持ち監修しているので良い文献となります。
さて今回はお客様からのお問い合わせから知ったことなのですが・・・。
「アンティークジュエリーでホワイトゴールドが作られたのは1920年代以降。」
とおっしゃる日本人ディーラーさんがいるのですが・・・いうぎょっとする情報でした。
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これ大きな間違いですよ!!!
少なくともフランスのアンティークジュエリーでは、ホワイトゴールドは1870年代から存在します。
「dès la seconde moitié du XIXème siècle」と表現されることが多いです。
フランス語らしい表現で直訳すると「19世紀後半を半分にしたうちの2回目にはいっていからすぐ」という意味になります。
19世紀を半分にして、その更に半分の2回目、つまり1975年あたりを指します。
アンティークジュエリーに使われているホワイトゴールドについてまとめのページを作りました。
是非ご拝読ください。
特に1900年頃までのゴールドジュエリーでは、イエローゴールドベースのジュエリーに部分的にホワイトの地金が入っている場合、それはプラチナではなくホワイトゴールドが用いられていることが多いです。
例えば下記のような指輪は典型的な例です。
ダイヤモンド周りはホワイトゴールド(グレイゴールド)です。

フランスのアンティークジュエリーでも1910年以降のものは、こうした部分にプラチナを用いたものもあります(ホワイトゴールドのものも両方あります)。
刻印はメインの刻印(つまり上記の指輪であるとメインの地金は18金イエローゴールドになります)に押されることが多く、それがこうした「部分的に使われた白い金属」の特定を難しくしている要因でもあります。
*ゴールドとプラチナの刻印が両方押されるケースも多いのですが、そもそもプラチナの刻印が1910年代にようやく作られるので1910年代まではゴールドのジュエリーの表面などにプラチナが使われていても、ゴールドの刻印だけが押されるケースが多いです。
ちなみに「プラチナが用いられている=高級」ということではありません。
ホワイトゴールドとプラチナのアンティークジュエリーの違いは、美しさやクオリティーの良し悪しにあるのではありません。
あえて言うなら「希少さ」です。
またプラチナは一般的に1920-1930年頃のジュエリーからよく見られるようになりますが、早くは1870年代(第二帝政期)から見られます。
アンティークジュエリーは例外が多くあり。
「1920-1930年のジュエリーで白い地金=絶対プラチナ」ということもないですし、「1870年代のジュエリーで白い地金=絶対にホワイトゴールド」ということもありません。
20世紀に入り加工技術が進み、新しい鉱山の発見もあり、多く流通するようになったということです。
さてホワイトゴールドに関してもう一つ重要な誤りが一部で流布しているようです。
「アールデコのジュエリーでよいものは必ずプラチナでできている、ホワイトゴールドでできたものは二流品、あるいはフェイクアンティーク」
↑
間違いです。
良質のアンティークジュエリーはホワイトゴールドはもちろんのこと、何と銀でも作られています。
有名どころではブシュロンやモープッサンもホワイトゴールドの秀逸なアールデコのジュエリーを残していますし、ジャン・デプレは銀xイエローゴールドで大胆かつ秀逸な作品を残しています。
私の所蔵するフランスのアールデコジュエリーについて書かれた本(現地でも有名なもので書店でもよく見ます)をパラパラっと見ただけで、非常に数多くの秀逸なホワイトゴールドのアールデコのジュエリーが作られていることが分かります。
そこには多くのグランメゾンのジュエリーも含みます

フランス語ではありますが、年代もしっかり記載されていますし良い事例です。

上記はブシュロンのアールデコのジュエリー。
白い金属部分はホワイトゴールドであることが明記されています。
上記のようなことを聞くとフランスアンティークジュエリーを愛する者として純粋に哀しくなってしまいます。
誰かを責めているわけではありません。
人は一度思い込むと、それがベースとなるところはあると思いますし、誰でも間違えることはあります。
ただネットの力ってすごくて、うっかり過去に間違えて書いたものがそのまま多くの人の目に触れることなどもありますね。
私も過ちをしないわけではないですし、改めて実証を重ねる重要性を感じますし、身が引き締まる思いです。
あとやはり何といいますかお喋りって大事ですね!
今回もそのようなことを聞いてすぐに文献で具体例を探すと共に、現地の私が知識面では最も信頼しているディーラーさんに連絡!
↓
フランスが朝になるなり彼女から返答がきて、やはり彼女の方でも具体例で良さそうなものがないか見てくれるとのこと、愛を感じます。
ちなみに彼女とはそれ以外の話でももりあがり、GWに予定している催事に合わせて彼女のところから新着のジュエリーをいくつかご紹介できそうです。
仕入れの現場でも、アンティークジュエリーの購入を決めて決済して終わりみたいなことではなく、私は催事場などでなければその場で色々話し込むことが多いです、時には何時間も。
買うとか買わないとか、いくらお金を落としていくか否かではなく、フランスのディーラーさんは特に人間関係の上になりたっているところがあるので、そうした意味では信頼してもらえると非常によくしてくれるところがあります。
最後はその人の人間性にいきつくのでしょう。
私もアンティークジュエリーは良い人から(人柄的にも)買うようにしています。
やはりご縁のものだと思うからです。
2015.04.07 (Tue)
アンティークジュエリーの刻印(ホールマーク)について
是非ご覧ください。
アンティークジュエリーの刻印(ホールマーク)について
かなりの力作で、最近異様にこのページの作成に情熱を注いでいました

フランスのアンティークジュエリーに限定した話ですが、よくある教科書的な話ではなく、実例を交えたとても詳しい説明になっていると思います。
例えば・・・
-フランスアンティークジュエリーでよく用いられる刻印について
(鷲の頭、フクロウの刻印、馬の頭の刻印)
-アンティークジュエリーでは刻印が必ず打たれているのか?
-刻印からアンティークジュエリーと断定することが出来るケース、出来ないケース。
-フェイクアンティークジュエリーに刻印は打たれるのか?
-アンティークジュエリーの刻印が後年押される事例・・・等々
日本の文献でここまで実例を交えたアンティークジュエリーの刻印の話はなかなかないと思います!
大抵は主だった刻印の説明とその用途、「刻印のあるアンティークジュエリーを買いましょう」ぐらいのことしか書かれていないですからね。
フランス人のディーラーさんとのいつものお喋りから、蓄積された知識の集約です。
特に近年は、フランスの法律が厳しくなってきていることから、再コントロールが随分浸透してきています。
アンティークジュエリーは昔つくられたものですが、ホールマークは現代フランスの社会・法律事情、マーケットの様子もこうしたことに関係してくる部分があります。
このあたりは雑談と実例をこなしていくことで、色々な例外に遭遇することで知識が深まっていくことになります。
下記は私が愛用している刻印の本です。

フランスのアンティークジュエリーの文献は、買い付けに行った際、少しずつ入手しているのですがいずれも大きくて重いのが玉に瑕です。
こちらも1キロはあると思います!
2015.03.21 (Sat)
アンティークジュエリーの修理の一例をご紹介いたします!
アンティーク指輪のサイズ直し等については、色々とご質問を頂くわりに、私のほうではルーティンになってしまっているところもあり、あまり細かく画像と共にご説明したことがなかったと思います。
今後、修理の一例で面白そうな事例がありましたら、ブログで紹介させていただきたいと思います!
まずスタンダードな指輪のサイズ直しの一例です。
17号から7号へとダイナミックなサイズダウンでした。
Before (17号)

After(7号)


こちらのアンティーク指輪のサイズ直しは難易度が高めでした。
理由は3つ。
1)17号から7号へということで、比較的大きなサイズ変更であること
2)束ねシャンクになっていること
3)刻印が2箇所にはいっていること
刻印を残したまま、バランスよくそして指輪に負荷をなるべくかけないよう1箇所で切れるかがポイントになりました。
難しい場合は2箇所出来ることになりますが、今回は1箇所ですんでいます。
そしてバランスもとても綺麗!
私もそしてご納品しましたお客様も、
「サイズダウンをした後の方が、アメジストの丸みを帯びたフォルムがより愛らしく引き立つ」と良い意味で驚きました。
特にサイズダウンをしたときに、「直したほうがオリジナルよりもこの指輪が美しく見える!」と思ったことは今までも何回かあります。
これはやはりそのアンティーク指輪のバランスの加減なのでしょう。
一般的にサイズを小さくしたほうが石の大きさが細工の繊細さが引き立って魅力的に見えることが多いように感じます。
刻印2つ(赤丸部分)も無事に残すことが出来ています。
2つの刻印は「フランスの18金の刻印」と「工房印」になります。
フランスの刻印制度は、イギリスの刻印と比べて情報量が少ないです。
大体のアンティークジュエリーでは金位(あるいはプラチナの証)のみが押されることが多いですが、時々工房印も押されているものがあります。
「金位」と「工房印」なぜか離されて(別々の場所に)押されることが多いです。
4時、8時のあたりに押されることが多いので、サイズ直しの際にデリケートな部分があります。
(アンティークジュエリーの修理は人にもよりますが日本の方がレベルが高いです。
現代のフランスの職人なら見事にいびつになるか刻印を片方つぶしてしまいそう・・・)
ちなみに刻印については、最近色々ご質問を頂くことが多いので、商品説明の中で今後なるべく細かく書いていきたいと思います。
フランスのアンティークジュエリーの刻印制度は情報量が少なく、「刻印=アンティークの証」そのものにはならないことが多いです。
「金位の証」にはなります。
刻印があったほうが良いですが、ないケースも多々あり(19世紀前半以前、2ミリ以下のジュエリー等々)、刻印がない=フェイクということでもなく。
「刻印がある=フェイクでないという証明」とにもならないケースも多いです。
色々な角度から検証が必要で、かつ色々な例外等を加味して考えないといけません。
なんでフランスはイギリスみたいに情報量の多い刻印制度を導入してくれていなかったの!!!
と恨みに思ってしまいます。。。
さて話が脱線していますが、修理の続き。
お次はピアスです。
Before

After

細工が細やかな非常に美しいピアスなのですが(でも写真がイマイチなので今度取り直そうと思っています)、先日、片側のパールが少し浮いたようになってしまっていることに気づきました。
工房に確認しましたら「パールの芯が長すぎるよう」とのこと。
そこで調整をお願いいたしました。
もちろんオリジナリティは損ねず、芯の部分の長さを調整してもらっています。
そこで綺麗に収まりました。
安全面でも安全になりました。
こうしたちょっと部分の調整こそ、アンティークジュエリーの修理でその職人さんの腕やセンスが問われるところです。
私がお願いしている方は腕が素晴らしく、よく感嘆しています。
修理は「何かのパーツを丸ごと取り替える」みたいな方がずっと楽で、こうしたオリジナルを残したままの調整と言うのは本当に難しいです。
例えばドルムーズピアスの開閉時の硬さを調整するとか、ブローチのがたつきを改善するとか、そういうのって普通の工房にいくと
「直すとなると全部変えないと」とか
「古いものなのだったらそれも味わいと思って使うほうがいいんじゃないですか?」
とかいって逃げられます・・・。
アンティークジュエリーの修理は、して良い修理と悪い修理があります。
オリジナリティを大きく損ねるような修理はNGですが、使い心地を改善するというのは、ある意味、作られた当時の状態に近づけることで必要な修理になってきます。
そこを怠ると、アンティークジュエリーも装着するものですので、紛失や壊れる原因を放置してしまうことになります。
修理はかなり私がこだわりをもっていますので、本当に信頼できる方にお願いして、また私も細かなチェックとリクエストをかかさずしています。
駆け出しのころから、日本のアンティークジュエリーの重鎮たちが利用する専門工房にお願いしていて(彼らの扱っているジュエリーの販売値段はその当時、私が扱ってきたアンティークジュエリーと1ケタ以上違っていましたが)、やはりこういうところにはお金をかけるべき!と思って取り組んできました。
それもこれもやはり古い時代の良いものを良いコンディションで、長く後世に残して生きたいからという願いがあるからです。
今日は友人が東京から遊びにきていましたので、先ほどお茶をしてきました。
同じ大学出身で同じ年で、彼女もアンティークやヴィンテージが大好きなので(分野は違うのですがヴィンテージのディーラーさんです)、とても刺激を受けてまた楽しかったです!
皆様もどうぞ良い週末をお過ごしください。
2015.02.23 (Mon)
2月の誕生石「アンティークアメジストのジュエリー」
アメジストがお好きな方はラッキーだと思います。
アンティークジュエリーにおいて、比較的豊かに見つかる宝石だからです。
現代のアメジスト以上に色が豊かなアンティークアメジスト。
概して
「アンティークのアメジストは(現代のアメジストと比べて)濃い色をしているか、淡い色をしているかどちらかのことが多い」
と言われています。
標準的なアメジストの色は逆に少ないです。
これはなぜかといいますとアメジストの紫色の要因は、微量に含有された鉄イオンによるものなのですが、この紫色は、加熱処理することによって色を調整することが可能。
勘の良い方ならもう分かるでしょう、現代では、色の調整がされたアメジストがとても多いのです。
「非加熱の天然」と言ったことに関しては、ルビーなどに関しては意識される方も多いと思いますが、アメジストではあまり意識していない方も多いのではないでしょうか。
現代ではそこまで高価な宝石ではありませんが、昔のもの特にロシア産のアメジストなどはアンティークジュエリーにおいて驚くほど高価に取引がされているのですよ。

↑
例えばこちらのネックレスのアメジストはかなり濃い色です。

↑
こちらも少し濃いめのアメジスト、このお花のアメジストは本当に綺麗だなと思うのです。
分かりやすい例がこちら。

↑
アンティークアメジストでも少し淡いといいますか、ほんの僅かにピンクの色調を帯びたスミレ色です。
濃い~~と思う紫色からこのような愛らしい色まで様々です!

↑
やはり少しピンク帯びた明るい紫色のアメジストです。
あとアメジストといえば色むら!
天然のアメジストは大きい石などになりますと同じ石の中でも、うっすらと色むらがあるのが分かります。
今では加熱するときに、全部一様の色になってしまうのですが、本来はそういう特性がありそれもまたとても美しいです。

同じ石の中で紫色の濃淡があるのはグラデーションのようで、まさに自然の産物です。
私はアメジストを見たり身に着けたりしますと、神秘的な気持ちになることが多いです。
空気の綺麗な森を歩いているような気持ちになれるような・・・。
お酒から身を守ることでも知られていますね。
成人を迎えたお嬢さんへのプレゼントなどにされても気が向いていると思います。
飲みすぎ注意ということで

アメジストは私も大好きな宝石なんです。
アンティークジュエリーでは指輪とネックレスで比較的、美しいアメジストを使ったジュエリーを見ることができます(一方、ピアスでは少なめなんです)
アンエティークネックレスではドラップリーにもされることがあります。

これだけ宝石がたっぷりついたネックレスは派手!と思われるかもしれませんが、案外落ち着くのですよ。
前回の東京の催事の際に、実際にお客様が試着されて「さりげなくて日常にもつかえそう!」とおっしゃっていたのが心に残っております。
アメジストのジュエリーは石が大きめであったりジュエリーにボリュームがあっても、どこか落ち着きがあり上品さが保たれるところが魅力です。
やはり高貴な紫色、そして他の色石よりは濃くない色だからだと思います。
こうして並べてみますと、宝石の魅力を改めてみることが出来るので面白いですね。
2015.02.15 (Sun)
春におすすめのアンティークジュエリーと宝石たち
皆様のお住まいの地域ではでそうでしょう?
春、冬服から春服へと変わる瞬間ほど、ファッションが劇的に変わる瞬間はないような気がします。
ジュエリーも当然そのところを意識してみたら面白いのでしょうね。
ということで改めて考えたいと思います、春に向くジュエリーって何でしょう?
1つは淡い色合いのジュエリーかと思います。
宝石でいうとアクアマリン(さすが3月の誕生石ですね!)やオパール、あと個人的にこれは!と思うのはトルコ石です。
特にトルコ石xダイヤモンドの指輪などは、春にとてもあいそうな気がします。
もちろんダイヤモンドは通年本当に使いやすい宝石で、それ以外も愛らしいルビーやブルーサファイア、アメジストなどのはっきりとした綺麗色の宝石は、爽やかで良さそうな感じです。
あと意外なヒットがブリストルグラス、手元がぐっと明るくなり良いです。
あとはモチーフから考えて見ますと、やはり王道の花柄は春にぴったりかと。
またアイテム的には、ワードローブが軽くなってきた頃に、ダイヤモンドのピアスがチラッと見えると言うのも良さそうですね。
指輪イメージでお見せすると下記みたいな感じになりそうです!




やはり爽やかな印象のものが並びましたね!
色合いの綺麗な宝石のジュエリーで、ちょっと宝石が大粒のものを選んでみても楽しそうだと思います。
2015.01.25 (Sun)
男性用のアンティーク指輪
特に多いのが、ご結婚を控えられたカップルの方からのご依頼で、アンティーク指輪で男性も女性もテイストを揃えられたいとのご要望をよく頂きます。
ですが・・・そんな大切な機会に当店をお選びくださったことに感激しつつ、結局シェルシュミディでは女性の指輪だけお選びいただくパターンが多いです
(ちなみにそれだけでも私は十分光栄でとても嬉しいのですが・・・)
なぜかと申しますと、男性ものの指輪をほとんど揃えていないといいますか、もちろん探すことはやぶさかではないのですが、残念ながらあまり見つからないからです。
実は前回の買い付けでもそうしたご依頼を頂いておりましたのでかなり熱心に探してきたのです。
そこで男性者のアンティーク指輪についてリサーチしてきたこと、気づいたこと等を少しまとめて書きたいと思います。
主にフランスのアンティーク市場での話になります。
男性ものの指輪
1)まず数が圧倒的に少ないです。
95%あるいはそれ以上に女性の指輪が多いです!
これは私の好みのディーラーがそういう傾向を持っているというところも多少はあると思いますが、大きなフェアなどにいてもそうした傾向です。
2)かなり大きめです。
日本では男性はお仕事もあるので「さりげない指輪」をリクエストいただくのですが、全然さりげなくないのです

そもそも女性もそうですが(ヨーロッパ人と比べて)日本人のほうが指は細め、特に男性は日本人男性の方が相当指が細くてらっしゃいます。
サイズを直せばよいと思われるかもしれませんが、やはりデザイン的にも大きすぎるような気がします
3)シュバリエールに代表されるようにかなりデコラティブで面積の大きい指輪が多い。
2にも少し連動しますがが指のサイズだけでなく、指輪そのものが大きめのものが多いです。
代表的なのはシュバリエール(紋章)のリング。
下記のような指輪が大半を占めるのです。
シュバリエールはそれはそれで味わいはあるのですが、結婚指輪としては少し目立ちすぎると思われる方が多いようです。
シュバリエールはかなり個性的な指輪デザインです。
女性用の指輪とセット感といいますか、統一感を出すのが難しく、男性のほうが目立ってしまいそうです。

4)予算配分の難しさ
上記の指輪は以前当店でご紹介いたしました、FIXと呼ばれるゴールドめっきだったのですが、18金等になりますとメンズの指輪は大きさも大きさなのでお値段もかなり大きめになります!
結婚指輪の場合、当然ながらやはり女性中心に考えられるカップルが多いです(私たち女性にとってはいいことですね。
やはり婚約・結婚指輪の主役は花嫁ということで、ご予算の配分の目立ち方もやはり花嫁重視のほうが私も良いと思います。
そうした観点からもお薦めできる指輪となりますとなかなか難しいです・・・。
5)地金がホワイトの男性ものの指輪がほとんどない。
お好みをお伺いしていますと、男性用にはホワイトゴールドかプラチナの指輪をお探しの方が多いのですが、アンティークメンズ指輪の大半はイエローゴールド。
そしてもう少し後年のヴィンテージと呼ぶべき時代に作られたメンズリングは銀になってしまい、ジュエリーとしてもだいぶ格が落ちてしまうものが多いのです。
ということで以上、「男性用のアンティーク(結婚)指輪を中々探せない言い訳」をつらつらと書いてみました。
でも市場概略としてはかなり正しく書けていると思いますし、世の中にこのような観点からアンティーク市場のことが書かれた文章もあまりないと思いますので、是非ご参考にしていただけましたら幸いです。
皆様からいただくご質問は、私も「なるほど!」と思うことが多く、色々な気づきをいただけて助かっています。
「男性用のアンティークリング」といえば、前回の仕入れで唯一「これは!」と思ったものがございます。
まだ商品説明等できあがっておらず、また結婚用に向くかどうかはお値段もかなり立派ですし難しいかもしれませんが、下記の指輪です。
ちょっと自由業的な男性ですとか、外資系の金融マンにかっこよくつけていただきたい指輪です。


プラチナxブルーサファイアの指輪で、元々女性用に作られた指輪だと思うのですが、女性用としては少し大きめでむしろ男性がするとスリリングなかっこよさが出そう。
写真の手はわりと細身の男性の手を拝借。
少しだけサイズ直しをすればちょうどいい感じに仕上がりそうです。
アールデコのかっこいい指輪ですので、女性がしてもまたかっこいいですけどね。
2014.12.08 (Mon)
アンティークチェーンとアンティークペンダントの組み合わせ
先日、単品でも使える程よい太さのアンティークチェーンをアップしましたところ、やはりあっという間にSOLDOUTになりました。
ちなみに↓のチェーンです。

程よくデコラティブなので、これだけで様になりますが、お客様は「お手持ちのアンティークペンダントに合わせるため」にお使いになられたいとのこと!
私はこの手のチェーンは単品でつけることしか想像していなかったので、良い意味でのサプライズでした。
なるほどこれだけ太さがあってもペンダントのチェーンとして使っても素敵なのですね。
ちなみに下記が、当店の所有しているほかのアンティークペンダントと合わせたときの写真です。
なかなか素敵じゃないですか!
アンティークペンダントがより美しく映えますね。

ここで問題になりますのが
「そこそこ大きなモチーフのチェーンの場合、ペンダント通しにチェーンが無事に通るか」ということです。
今回は結果OKだったのですが、難しい場合もございますね。
ちなみに今回のチェーンのパーツの大きさは横4ミリ弱x縦6ミリ。
ギリギリ通るペンダント通しが多いのですが、今回引っかかりそうだったのが引き輪(留め具を受ける円形の金具)部分でした。
この部分が少し大きめの4.5ミリほどとチェーン部分より大きめだったのです。
こんな時の解決方法としては以下のようなことが考えられます。
1)ペンダント通しが4ミリは通るもので、引き輪だけが大きくギリギリ引き輪のために通らない場合
→引き輪だけを取ってしまう。
ただアンティークチェーンの場合、引き輪部分に刻印があることが多いので、それが問題になってきます。
もちろん取った引き輪はお返しできます。
保管しておいていただけましたら将来的に、戻すことも可能です。
2)ペンダント通しの通し輪を、より大きなものに交換する。
これは案外簡単にできます。
通し輪を換えることは工賃はそれほどかからないです。
後は材料費、地金を何にするかによりますね。
(18金以外でも、この部分だけ9金にしてコストを抑えるやり方もあります)。
以上、チェーンを買う時に以外に悩まれるポイントかな?と思いましたのでシェアさせていただきました。
ご参考にしていただけましたら幸いです。
2014.11.21 (Fri)
円安とアンティークジュエリーの価格について
催事を行っておりますと色々な方からご質問をいただき、複数の方から同じようなご質問を受ける場合もございます。
そうしたテーマは、はやはり関心を持ってくださっている方が多いということでしょう。
なかなかデリケートな話ではございますが今回もご質問の多かった、
「円安とアンティークジュエリーの価格の動向」
について、当店の見解を書かせていただきたいと思います。
ここ数年、特にこの1ヶ月は急激に円安が進んでおります。
対ドルでは3割ほどの円の下落、「ということはやはりアンティークジュエリーの価格がそれだけ上がってしまうのでは?」とご心配いただいてくださるお客様が近年多いです。
答えはですね、、、、大変つらい事実ですが確実に上がると私も思っています。
単純にユーロが円に対して3割あがったから3割り増しになるといった感じではないと思いますが、確実にあがらざるを得ないでしょう。
ただ私が危惧しているのは為替だけではありません。
1)アンティークジュエリーが減ってきていることから(特にフランスもの)、2-3年前からEUR建てでも既に価格が大きく上昇してきている(3割増しぐらいになってきている)。
2)上記に加えてこの2年は急激に円安が進んできている。
といったことです。
仕入れ値は5割程度増していると言う感覚です。
これがそのまま販売価格に反映されるかというと、現時点では多少はされてきていますがそこまでではありません!
日本はかなりの間、不景気が続いておりましたからどの業者さんもギリギリのところを削って頑張っているという状況だと思います。
当店を含めて日本の業者さんは経費削減、利益削減でかなりギリギリのラインで頑張っているのではないでしょうか。
現状では販売価格そのものは少しずつ上昇してきているように思いますが、仕入れ値の上昇分ほどは上げられていないといのが現状だと思います。
しかしそうしていると当然しわ寄せは、業者に行くことになります。
実際、この数年店じまいや規模縮小をしたお店はかなりかなり多いです。
まだ価格がそこまで上昇していないのは、一つにはお店はどこも在庫を抱えており、その中には随分前に仕入れたものも多いはずで、それは昔仕入れたものですから、こうした状態になってきていても価格は以前と変えていないこと。
またEURやポンドなどをある程度、前もって持っているお店さんなどもいるでしょうから、そうした工夫などでだいぶ吸収できていると言うところも現時点ではあると思います。
しかしこうしたことが永遠に続くわけではありませんので、今後、緩やかに上昇していかざるをえないでしょう。
と書きますと
「この先、この業界ってお先真っ暗じゃない!」
と思われるかもしれませんが、うーん、まぁでもそういうものだと思います。
今より円安の時代もありましたし、アンティークジュエリーの価格ってそもそも近年随分安く売られるようになったぐらいで、昔私が始める前のころの日本での相場はもっとずっと高かったですよ

当店では、向こう2-3年の為替のリスクは多少は軽減できるような措置をとっています(もちろん全てを吸収できるわけではありませんが、半分ぐらいは吸収できそうです)。
EUR建ての価格を抑えて仕入れができるかどうかは、やはりディーラーさんとの関係や付き合い方、タイミング等につきますので、色々まめに相談をしては可能な限り抑えています。
しかし取れるだけの対策を取ればそれ以上はある意味、気を揉んでも仕方ありません。
いつの時代もフレキシブルに対応する、これにつきます。
あと一言で「価格が安い、高い」といってもやはりアンティークジュエリーの場合、価格は簡単に比べられるものじゃないのです。
ちょっと似たようなものはあるかもしれませんが、よく見るとそれはだいぶ違うものでもあったりします。
例えば「ダイヤモンドxルビー」の同じような同じ頃に作られた同じ大きさぐらいの指輪があっても、その美しさの優劣というのはだいぶあるものです。
またアンティークジュエリーそしてジュエリーそのものや宝石の持つ価値も、時代のよって少しずつ変わってきています。
やはり世界的に見てアンティークジュエリーは希少になってきており、そしてそれは実は現代ものの天然宝石もそうなのですよ。
香港の現代物のジュエリーオークションなどでは近年、ジュエリーや原石の最高落札価格の更新が続いています。
ピカソの絵を昔、購入した人の価格と今、購入する人(簡単に買えるものではないですが!)の価格が違うように、世の中で認められる価値が異なってきているというところもあります。
とまぁ、色々と考えていくと頭がぐるぐるになりますが、大きくいえば
アンティークジュエリーの価格はあがってきているし、もっと上がると考えている。
しかしだからといってお先が真っ暗なわけではない。
それをお伝えしたかったのです。
またそもそも価格にとらわれすぎると良い買い物はできません(それは私のようなディーラーも皆様も同じです)。
少しお値段のはるものだって何十年もヘビーローテーションで使えるのだったらある意味お買い得です!
最終的には、何を持って適正価格と取られるかはお客様次第ですし、それがアンティークジュエリーの醍醐味でもあります。
さて紅葉がだいぶ色づいてきました。
今日は京都の市街地でいち早く色づいていた真如堂近辺にいってまいりましたよ。
金戒光明寺から真如堂へ、この間の風情のある小道を通り抜けながら散策するのが好きです。
紅葉の季節も桜の季節も、京都のど真ん中にあってなぜかなかなか空いている穴場なのです。






2014.09.24 (Wed)
アンティークブローチが帯留めに変身!
「ブローチを帯留めに変える金具」です。




シェルシュミディのお客様には和装もお召しになられる方も多く、時々「アンティークジュエリーを着物に合わせると便利なのよ」と言うお声をいただきます。
上のガーネットのブローチなんて、元々帯留めとして作られたのではないかと思うほどぴったりですね!
ご存知の方も多かったでしょうか?
これフランス人のディーラーさんにも教えてあげようと思いました!
ブローチは色々な使い方ができるアイテムです。
以前「色石のシンプルなスクエアのブローチ」を見つけたことがあったのですが、現地のマダムディーラーさんは
「私、この綺麗な石を見ていると大きな指輪にして使いたくなるわ」
とおっしゃって指にあてられました。
そしてその瞬間、私にもそのアイデアがピンと絵になりました。
アイデアしだい、アイデアが豊かということは素敵ですね。
着物に合うジュエリーって、現代ジュエリーではなかなかないと思います。
そうかといって純粋な和テイストのアクセサリーだと他への応用がきかなかったり、カジュアルなものでも結構なお値段がしたりして。
アンティークジュエリーを和装にも合わせるのは素敵ですし、これは逆に西洋の人が憧れてしまう使い方だと思います。
ぜひ色々試されてみてください!
2014.09.21 (Sun)
アンティーク指輪の重ね着け
せっかく手に入れられたジュエリー、組み合わせも楽しんでみたいですね。
1つの手に1つの指輪といわず、2-3つけても素敵です。
フランスの女性は、マダムになりますとかなりたくさん着けられる方も多いです。
それもtoo muchな感じにならずいい感じでつけこなしているので「さすが!」と思います。
これもやはり経験で、回数をこなされていくことでよりかっこよくお着けいただけるのかもしれないです。
先日、そうしたお問い合わせをいただいたということもございまして、改めて当店にありますダイヤモンドの指輪でいくつか重ねづけの実験をしてみました。
そして私的に「これは合うな!」と思いました組み合わせをいくつかご紹介いたします。




もう既に売りきれている指輪もあり恐縮なのですが、ご参考まで。
おそらくルールとしましては、
-フレームの色を統一する。
YGなら両方ともYGのフレームのもの、WGならWG同士。
あるいは
-フレームがあまり見えない指輪
をあわせるということかなと思います。
実験している中でいずれとも比較的合いやすかったのが↓の指輪。

おそらく指輪を正面から見たときにあまりフレームがたくさん見えないからでしょう。
また合わせていて思ったのですが、ダイヤモンドの指輪は1点でも素敵ですが2つ巧く合わせるとその魅力は2倍以上になりますね。
やはり美しいダイヤモンドの煌きは私たち女性の気持ちを明るく照らしてくれます。
重ねてみて改めて魅入ったアンティークダイヤモンドの魅力です。
2014.09.13 (Sat)
チェーンの通し輪が2つあるペンダント
いかがお過ごしでしょうか?
さて先日、お客様から頂いたご質問でこれは皆様にもシェアしたほうが良いと思ったものがありましたので書かせていただきます。
良くアールヌーボーのブローチに見られるのですが、ペンダントとしてもブローチとしても使えるようになっているジュエリー。
「左右両側にペンダント通しがついているジュエリーですが、これにあわせるチェーンをどうしたらよいですか?」と言うご質問です。
例えば下記のようなジュエリーですね。




>これは割と答えが簡単にあります。
チェーンの両側に引き輪(留め具)をつけるのです。
通常のチェーンですと、片方に「引き輪」がついていて、片方は「受け」になっていますが、受け部分にも「引き輪」をつけます。
お手持ちにそうした両側に引き輪がついているチェーンがない場合には、つけてもらうことも可能です。
引き輪の大きさにもよりますが(左右大きさをおおよそでも揃えたうがよいので)、部品代込みで3,000-4000円ぐらいだったと思います。
これぐらいの作業であれば、別に当店の提携しているようなアンティークジュエリーを専門とする工房でなくとも、近くの現代ジュエリーの修理屋さんなどで簡単に加工してもらえると思います。

「そんな加工をしてしまうと他の用途に使えなくなるのでは?」とご心配されるかもしれませんが。
↑みたいな感じで、引き輪同士をつなげれば1つのチェーンになりますので、ほとんど違和感なく今までどおり他の用途にも使えると思います。
通常留め具は後ろですしね。
以上、何らかの役に立てば幸いです。
ところで最近京都で、主に和の専門店をぶらぶらするのにはまっています!
下記は先日、国際結婚する友人のプレゼントを購入した扇のお店です。

京都市内に扇の専門店はいくつかありそれぞれ特徴が。
色々探し回りましたが、私が可愛いなと思ったのは白竹堂。
老舗でありながら雑誌とコラボしたり邪道な部分もあるのかもしれませんが、なんと言っても現代生活に合わせやすい扇が多い!
扇も数千円のものから数万円のものまで色々。
細工などを見ていれば、やはりアンティークの扇にかなうものはありませんが、なかなか観ていて面白い世界です。

↑
先日アップしたムーンストーンのネックレス。
ぱっと華やかなデザイン、それでいて収まりの良い青色。
現代ではアンティークムーンストーンのような天然で半透明の美しいシラーのムーンストーンは見られません。
そのためアンティークムーンストーンを初めてご覧になられたお客様には必ず「この美しい石は何の宝石ですか?」と聞かれることが多いです。
気軽に日常をドレスアップできる重宝な一品です。
2014.09.05 (Fri)
アンティークジュエリーの修理「アンティークブローチの緩み」
ジュエリーに関しても少し知識を得られるようなそんなブログにしていきたいと思っております。
今日は「アンティークのブローチの緩み」について書きます。

アンティークのブローチは、少しがたつきのあるものが多いですね。
これは大体の場合、「蝶づかい」の芯に緩みがでてきているためです。
この調節というのはとても難しく、多くのお店そして職人さんまでも
「変にいじると壊れてしまいますから、使えるならそのままで大丈夫ですよー」
なんておっしゃいます。
しかしやはりお客様の立場から考えれば、揺れが一切なくスムーズに針を開いたり閉じたりしたいですよね。
当店の職人さんは、やはりかなり腕が良く、この調整も時々お願いします。
先日もお恥ずかしながら実は売却が決まった後に、最終チェックをしておりましたらこの部分に少し緩みのあるブローチがございまして。
お客様にお待たせしてしまって大変申し訳なかったのですがご許可を頂いた上で、お直しを済ませた上で納品させていただきました。
修理方法としては、一度この芯の部分を抜いて、緩みのある部分に芯を部分的に追加したり、芯だけ交換したりすることが多いようです。
18金や銀などの貴金属でできたジュエリーでもこの芯の部分はメタルで負荷もかかる場所ですから、年月による磨耗が見られる部分です。
このように以前の状態にジュエリーを戻してあげる修理はとても良い修理だと思います。
アンティークだから、古いから、100%機能しなくて当たり前というのは違うと思うんですよね。
だって18世紀や19世紀にはきちんと機能していたものなのですから。
ただこの部分の修理は非常にデリケートで、普通の工房ではまず嫌がられますね。
いつもきちんと仕上げてくださる職人さんにただ感謝です!
以上、本日のジュエリー豆知識でした。
また皆様とシェアできそうな情報がありましたら、随時ブログにてアップしていきますね。
下記は先日アップいたしましたアールヌーボーの薔薇のネックレス。

1890年頃と書きましたが、1890-1910年頃と少し幅を持たせてください。
と申しますのは世紀末の特徴に加えて、少し20世紀初頭のアールデコにつながっていきそうな直線的なラインが見られるからです。
アールヌーボーからイギリスで言うところのエドワーディアンに差し掛かる、変遷の頃に作られたネックレスと推定できます。
ヌーボーなのだけれどどこかすっきりとした端正なラインも魅力的。
製造年と申しますと「○年」のようにある年を想像されるかもしれませんが、実際には何年もかかって製作されることも多いです。
10数年にわたって製作されるジュエリーもあります。
こちらのネックレスはもしかしますとそうしたかなり長いスパンを持って製作されたネックレスなのかもしれません。
素晴らしく貴重です。
2014.08.30 (Sat)
フランスのインボイスをお見せします!
それは間違いなく合っています!
しかしながらフランスのビジネスに関する法律や規制は、意外なほどに日本のそれよりずっと細かいと思うことが多いです。
例えば、インボイス。
インボイスはいわば領収書代わりにもらうものなのですが、普段は社外秘なのですが、相手方の個人情報等にかかわる部分を覆った上で公開させていただきます。

これが私をはじめ、フランスでアンティークジュエリーを仕入れたときに必ずもらわないといけないインボイスです。
大雑把にご説明しますと。
左上の付箋で隠している部分:ここにディーラーさんの屋号、その下にRCと書かれていると思うのですが、ここに登記番号が書かれています。
皆さん、このスタンプはいつも変わらないのでスタンプをもっていて、それを押してくれます。
右上:ここにバイヤーの詳細を書きます。 私の東京のときの住所ですが、それが書かれています。
日本の住所はフランス人からするとちんぷんかんぷんなので、ここはいつも私が書くように言われます(この箇所はバイヤーが書いてOKなのです)
それから取引の日付。
それから一点ずつ詳細が書かれています。
例えば一番上は
un collier bayadere aregent francais perle de verre strass 1920
とかかれています。
大まかに訳せば
「ネックレス一点、 bayadere様式(インドの女性の踊り子のイメージからインスパイアされたアールデコ期のスタイル) 銀、 フランス製 ガラスビーズ ラインストーン 1920年頃」
ということになります。
ちなみにor(金)とだけ書かれていてカラットがかかれていない場合は、18金を指します。
フランスの場合は18金がスタンダードだからです。
2枚つづりになっていて、1枚はディーラーさん保管、1枚を私にくれます。
そして上のほうにTVA 19.6% sur marque non recuperable ART 297 CGL
とあるのですがこれはフランスの付加価値税についての表記になります。
日本でいうところの消費税にあたるところです。
どうですか?意外に細かいでしょう?
これは手書きで書いてもらわないといけませんので、たくさん仕入れたときなどはかなりの量です。
間におしゃべりが入るので30分くらいかかることが多いです(笑)
ちなみに私たちがもらうのはこの紙だけでよいですが、ディーラーさんはこのインボイスをもとに、自分の台帳を持っており、照合して帳簿をつける必要があります。
これは国で決められた台帳でフォーマットがきまっており、商売をする場所では常にこの台帳を持参していないといけないことになっています。
そしてゴールドの含まれた商品は、必ず重量を記載して、重量が書かれたラベルを商品に貼ることが義務付けられています。
売却したときはそのラベルをはがして、台帳をと照合して、○月○日に○○に売却、○インボイス参照といった記載が必要です。
読んでいるだけで疲れてきませんか?
実際にフェア会場などになりますと警官のチェックがはいることがあります。
そのときに、台帳を持っていてきちんとした記載がされていないと、罰金等が科せられるのです。
ですから普段は非常にいい加減なフランス人ですが、こうした商売周りの書類は一点ずつ帳簿をつけてとても細かく処理していて、皆さん「大変!」と口をそろえておっしゃいます。
ちなみにインボイスや台帳は、スーパーや文房具店などで売られているわけではなく、免許を見せて決まったところで買うようになっています。
はんこを押せば、市販の領収書が使える日本よりずっと厳しいのです。
また台帳も日本ももちろん事業者は帳簿等をつける必要がありますが、おのおの好きなソフトやノートで管理していいですよね。
そして日本の場合、それは税務のためだけの書類であり、税務申告をきちんとすればあとは何も問題はないですね。
そのいきさつの中でパソコンで在庫を管理しようが、自分の手書きノートでしようか自由です。
また商売をするところでその台帳を持ち歩くなんてことは一切ありません!
フランスはこれも指定されており、その指定された台帳はすごく重そうで大変そうなのです。
どうでしょう?
自由の国フランスの意外な面ですよね。
実際にフランスの税制は私も複雑すぎて把握しきれていないですが聞くかぎり日本より数段細かいです。
完全な管理社会で、そうしたところは日本よりずっと官僚的なのですよ。
ところで何回か数人のお客様から
「フランスで仕入れって大変なんでしょう?
空港で仕入れたジュエリーを取り上げられたという話を(他の日本人ディーラーさんから)聞きましたけど」
って言われたことがあるのですが。
私は・・・ないです。
「なんで取り上げられたのですか?」
と伺いますと、いつもそれがイマイチはっきりしないようなのです。
私が察するにもしかするとその肝はこのインボイスかもしれません。
空港の税関で、外国人が貴金属を大量に持っているのを発見すれば怪しむわけです。
そのときにおそらくそれをきちんと説明できるインボイスがあれば問題ないと思うのですが、それが言語の関係などで巧くいかないのかもしれません。
要するに盗品でないとわかればOKなはずです。
あとは法律にひっかかりそうなもの(文化遺産や持ち出し禁止のものなど)でなければ・・・。
ちなみにインボイスは買い手が外国人でもフランス語で書かれます(なぜならフランスのお役人がチェックするものだからです)
それで馴染みのディーラーさんに「フランス語が読めない、例えば日本人やアメリカ人のディーラーさんにもこれを書いているの?」と聞くと
「そうだよ、僕もどうしているんだろうと思いながら書いている」
と言っていました。
フランス人の手書きはなかなか癖があり、今回ご紹介いたしましたインボイスは当店がお付き合いしている中でもおそらく最も字の綺麗なディーラーさんなのですが、もう暗号のような字もあります。
私も時々、顔をしかめながら解読していますのでこれはなかなかフランスの仕入れの難しい部分なのかもしれないですね。
ちなみにお隣、紳士の国イギリスのインボイスはもうそれはひどくいい加減です。
「領収書ちょうだい」というと
「はいよ」とノートの切れ端に
「ダイヤモンドの指輪 xxxポンド ○月○日 トーマス(仮名)」以上みたいな感じです。
このあたり色々面倒ですがなかなか面白い買い付けの一こまです。
下記は先日アップしましたアールヌーボーのペンダントです。

栞のように薄い瀟洒なペンダントでした。
宿り木がモチーフになっています。
宿り木はヨーロッパで古くから愛されてきた樹です。
真冬の荒野でも青々とした葉を持つ宿り木(ヤドギリ)。
春を待つ「精」が宿ると言われ、「再生」「永遠」のシンボルとして愛されてきました。
あっという間にSOLDです。ありがとうございます。
2014.08.25 (Mon)
18世紀ジュエリーの魅力について
ここのところ各地で大雨の日が出ておりますが、皆様のところは大丈夫でしょうか?
ここのところ18世紀のジュエリーが数点、バタバタとお嫁にいきました。
そしてこの時代のジュエリーをご購入いただきましたお客様から以下のようなご感想をいただきましたので(←ありがとうございます!)、ご本人の許可を得た上で抜粋でご紹介させていただきますね。
「ほぼ、イメージ通りですが、実物の方が良いです。
状態が良いですし細工が細やかで、ところどころのゴールドの使い方がセンスいいと思いました。
やはりフランスのストマッカーは、繊細で、美しいです。
大きさも縦幅が短めなので、お洋服とのバランスがとりやすいです。
一番下のダイヤが大きいのも、得した気分です。
このストマッカーは、時代は古いですが、現代のシンプルシックなお洋服に合わせるとモダンに見え、細工の美しさがひきたちます。
フェミニンだけど、甘過ぎずフランスのセンスは絶妙です。」
フランスの良質なアンティークジュエリーの特徴をよく書いてくださっているなと思いましたのでご紹介させていただきました。
フェミニンだけれど甘すぎない。
古い時代のものなのにモダンにも見える。
これは本当にそうだと思います。
本当に不思議ですよね。
友人にヴィンテージのお洋服のディーラーさんがいるのですが、彼女も私と扱うモノは異なりますが同じようなことを言います。
「なぜこの仕事をするかというと、美しさが廃れないから。」
「18世紀のフランス」というとブルボン王朝を思い浮かばれることでしょう。
華やかしころの宮廷文化。
私が昔「フランス語を専攻している」というとよく男の子などから「ヴェルバラ(ヴェルサイユの薔薇)に憧れているの?」
とやや馬鹿にした表情で言われたものです。
皆さんなんとなく、ものすごいご婦人の髪型などフリフリ、派手な文化を思い浮かべるようですが。
実際にヴェルサイユ宮殿にいったり、フランスの当時の文化遺産をみると、それは日本で勝手にデフォルメされたイメージであるということが一目瞭然に分かります。
優美だけれども、決して派手ではないし、フリフリのギラギラではありません(笑)
むしろ抑えの美が効いていて、やはり当時の照明下で映えるようなつくりになっています。
その程よい渋さが現代みますととてもかっこいいのですよね。
18世紀のフランスジュエリーは当たり前のことながら、年々見つけるのが困難になってきていますが、それでもとても好きな時代の一つですので今後もがんばって探しますね。
今、当店にあります18世紀のジュエリー、だいぶ少なくなってきましたがリストアップしていみました。
時代の息吹が感じられることでしょう。
「鉄」を使ったジュエリーが多いことにも気づかれることでしょう。
18世紀後半あたりは鉄のジュエリーも重用されます。



こちらは18世紀製作部分と19世紀製作部分からなります
2014.08.22 (Fri)
アンティークジュエリーと女性が歳を重ねることについて
私も好きなアイテムの一つ!
アンティークジュエリーですがレトロすぎることなく、現代見てもドキドキするほど洗練されてます。
ネックレスのことを考えていたらふと頭をよぎったのが下記のダイヤモンドブレスレット。
こちらは写真がイマイチで恐縮なのですが(取り直します!)、指にさらさらと流れるような触感がとても良いブレスで、素晴らしく仕立ての良いやはりほぼ同時代のブレスレットです。

ちょっとあわせてみました。
いかがでしょう?

ブレスレットは写真ではイエローゴールドの箇所も目だってしまって見えますが、着けているときはプラチナ部分しか見えません、やはりホワイトのジュエリーです。
どちらも手にしたときの感触のよさ、スレンダーな縦ラインが共通しています。
この時代のエッセンスを感じていただけるのではないでしょうか?
この二つの美しいジュエリーがあったら、かったるい朝などもエンジンがかかりそうです。
(私はわりと朝が苦手なのでそう思うのかも)
特にブレスのほうはさりげなく普段づかいにも向き、まさにワンランク上の日常使いできるジュエリーです。
今、改めて調べてみたらやはり同じディーラーさんから購入していました。
彼女のところから仕入れるジュエリーは数は少ないのですが(比較的高価なものが多いので、数としては少ないですがやはりいつも必ず会うディーラーさんです)、どれもとても品質がよくて、何と言っても洗練されています。
仕入れたタイミングはバラバラですが、こうも似たようなテイストのものを彼女も私も好きなんですね。
ちょっとした発見でしたのであわせてみた次第です。
こうしたハイクラスなジュエリーが片手で数えるだけあれば、女性のあらゆるシーンは変わると思います。
夏は思い出が蘇る時期ですが、いろいろなシーンが頭に浮かぶとき、そのとき着ていた服の感触や香水のにおい、ジュエリーの感触などは案外感覚として残ります。
それらがきっかけとなって、後年になりフラッシュバックのようによぎることが私は多いです。
フラッシュバックと言えば、村上春樹さんの本で、
「飛行機にのっていたときにふと思い出がフラッシュバックのように蘇り、苦しいほどで、スチュワーデスさんに大丈夫?」と言われるシーンがなかったでしたでしょうか。
「ノルウェイの森」だったかな?
私は、身に着けていたものの感覚とか空気の乾燥していた感じ、匂いなどが思い出のキーになることが多いです。
思い出は時に切ないこともあるかもしれませんが、そうした感覚は持ち続けていることはまた素敵なことではないでしょうか?
良いジュエリーは女性が歳を重ねることを、肯定してくれますね。
2014.05.28 (Wed)
地金が「銀」のアンティークジュエリーのお手入れについて
せっかく頑張って書き上げていたものなのに、なんてことでしょう。
早速、修正をいたいました。
よろしかったら、もう一度ご覧になられてくださいね。
素晴らしい作品なので、写真だけでも皆さんにご覧頂きたいと思います。
さて昨日アップしたブローチも主たる地金が銀なのですが、、皆様からけっこうよく頂くご質問に
「地金が銀でできたもの、あるいはダイヤモンドの台座など部分的に銀の使われたジュエリー、黒ずみがでてきたらどのように手入れをしたらよいのでしょう?」
といったものがありますので、この機会に詳しく書きたいと思います。
中には、「銀=黒ずみ」という観念が定着されてらっしゃって、好きだけど泣く泣く諦めるというかたもいらっしゃいます。
特に19世紀までのものなど、アンティークジュエリーでは銀を効果的に使ったものが実に多いです。
まずお手入れ方法の前に、>「黒ずみは本当に出るのか?」という疑問に対してお答えしましょう。
実は・・・あまり出ません。
皆様、「アンティークの銀製品=黒ずみ」というのは、おそらく古いカトラリーなどから想像してらっしゃらないでしょうか?
銀の黒ずみは、純度によって大きく異なります。
カトラリーなどはやはりその用途から、純度をそれ程高くしていません。
つまり他の金属を足しており、それが黒ずみの原因になります。
対してジュエリーに使う銀の純度は一番低くて75%、しかも残りの地金(割る金属)にホワイトゴールド、ニッケルなどが入っていることが多いです。
圧倒的に黒ずみはでません。
「ゴールド=黒ずみが出ない、銀=黒ずみが出る」
とイメージされてらっしゃる方も多いですが、これも一概には言えません。
アンティークジュエリーの業界では、「ゴールドは手入れが楽ですよ、古い真珠は全て天然ですよ、昔のものは全てハンドメイドですよ」という何だかとても安易なセールストークが充満しており、抵抗を覚える私です。。。
実際に純度の高い銀のジュエリーと9金ゴールドでしたら、むしろ銀の方が出にくいことも多いです。
(フランスアンティークのゴールドジュエリーは大体が18金ですが、イギリスのものなどは9金も多いです)
また「18金ゴールドなら絶対に黒ずみがでないか」というとそうでもなくて、皮脂などによる油汚れによりやはり汚れはそれなりに付着します。お薬を飲まれている方は黒ずみがでやすいといった個人差もございます。
またそもそも汚れが出るからいけないのか、と言うとそれもそうではありません。
正しいお手入れをすれば良いです。
では次にお手入れ方法。
毎日のお手入れ:これは銀も金も変わりません。
一日、お使いになられて外される時に、セーム革などの柔らかい乾いた布でザックリ拭いてあげてください。
難しく考えられることはありません、手を拭いてあげるような感覚と同じでざっくり、指輪などでしたら外しながら軽く拭く程度でOKです。
黒ずみ、あるいは紫っぽい汚れが付着していると思ったとき:
1)ゴールド(真珠などのデリケートな宝石のついていないもの、エナメルなどの装飾施されていないもの):ママレモンなどの中性洗剤で洗ってみる、洗った後はよく拭いて乾かす。
中性洗剤で落ちない場合は、ジュエリークリーナーも有効(ジュエリークリーナーは宝石によって2種類あることがありますので、注意書きを読まれて行ってください)
*ただしジュエリークリーナーは半年に一度ぐらいの目安で、頻繁な利用にはお薦めできません。
2)銀:宝石などが付いていない箇所は、シルバークロスで軽くこする
宝石などが付いている箇所:ジュエリークリーナーの方が安心です。
上記で解決しないようなもの、アルコールも手です。
デリケートな宝石がついていないものは、市販されているエタノールアルコールを麺棒につけて、その麺棒で該当箇所をこすってみてください。
それが終わりましたら、水洗いをしましてよく乾かしてください。
またエナメルなどのデリケートな細工のものなどは別途、ご相談ください。
お手入れはいずれもケースバイケースということもあり、また実はその方のご体調(お薬を飲まれている時は、汚れが付着しやすいといったこともあります、これは現代ジュエリーでも同じです)やライフスタイルによっても、様ざまです。
大変なものは工房でクレンジングしてもらうことも可能ですし(こちらは特にジュエリーそのものに落ち度がない限りは有料にはなってしまいますがとてもリーズナブルです)、何かございましたらお気軽にどうぞ。
アンティークジュエリーは手をかけてあげることで、本当に何世代もお使いいただくことができます。
日本が世界に誇る時計なども、現代ものは購入してからの10年間は本当に秒単位の狂いもなく、正確に動くのです。
ただ寿命がくると、お手入れをしようが何をしようがもうお陀仏です。
対してアンティークは、それだけの正確さは出ないかもしれませんが、たいていの場合修理が効きます(ジュエリーも現代ジュエリーや鋳型で作っているパーツが多いですから、部分的な修理が構造上できないことが多いです)。
皆様に長くご愛用していただけましたら幸いです。
下記が昨日アップしまして、商品説明が未完であったフィヤージュのブローチ。
フランス語「フィヤージュ(Feuillage)」から来ています。
「葉と葉の付いた枝」という意味で、アンティークジュエリーを代表するモチーフの一つです。
いつも馴染みのディーラーさんのところで、ひときわ存在感を放っていました。
優れたアンティークジュエリーでありながら、芸術品を手にしたような喜びもあります。

2014.05.18 (Sun)
アンティークジュエリーの油汚れを綺麗にする方法
こうした金属だけで出来ているジュエリーのクリーニング方法のご紹介です。
一つにはジュエリークリーナーを使っていただくと言うのがやはり王道なのですが、ジュエリークリーナーは風邪でいうところの「総合感冒薬」みたいなものです。
全体的にマイルドに効いて失敗が少ない。
でも、もしその汚れが「油汚れによる黒ずみ」の場合は、台所洗剤のほうが効果的なことが多いです。
(宝石のついているものには使わないでくださいね、でもダイヤモンドぐらいでしたらOKですよ)
台所洗剤というのは、いわゆるママレモンみたいなものでOKです。
私は肌が弱く普段お皿を洗う時は、オーガニック系の洗剤にしているのですが、やはりママレモンはジュエリークリーニング用に常備しています!
あと油汚れにはアルコールが効いたりするのですが、これはちょっと希釈とかやり方が難しくなりますので、皆様にはあまりお薦めできません。
ママレモンも毎日などはあまりお薦めできないですが、意外に負荷も少なくお薦めの方法です。
提携している工房の方は、こうしたお手入れのこともいつも詳しく教えてくださって「この汚れどうしても落ちないのでお願いできますか?」
と聞くと
「○○で△すると、きっと矢葺さんでも簡単にできますよー、そのほうがお金もかかりませんから」
とかおっしゃってくれます。
商売人ではないんですよね、本当に・・・。
週末に船岡山にいってきました。
こちらも私的、京都のパワースポットの一つです。
大文字の「大」が見えて素晴らしい見晴らしです!




2014.02.12 (Wed)
アンティークジュエリー 刻印を見つけるコツ
実際買付の時の、なるべく刻印のあるものを選ぶようにしております。
しかし刻印がある=安心
刻印がない=ニセモノ
というとそうでもなく、特にフランスのアンティークジュエリーの場合、刻印は金の純度を示す以外に大きな意味がない場合も多いので、是非一度、過去に刻印について色々と詳しく書いた記事を一度ご参照いただきたいのですが。
本日は、その刻印の意味云々は、過去のブログ記事におまかせするとして、
「刻印ってどこにあるの?」と言う素朴なご質問にお答えしたいと思います。
結論から申し上げますと、どこに押すかは特にきまっておりません。
ただ長年見慣れていると、「この辺りかな?」みたいな勘が効くようになります

フランスの場合、特に指輪は、フレームの外側で間違いないです。
またピアスは止め具の横の部分に入っていることが多いです。
難しいのは、例えばバングルやネックレス、ブローチなどそれぞれ形状にバラエティーがあるものです。
ちょうど先日、こちらの素敵な「ダイヤモンドバングル」をご購入いただきましたお客様用におつくりしましたちょうど良い写真がございますのでご参照ください。


バングルの場合、このようなところに押されることが多いです。
このバングルは比較的大きさがありますし、まだ見つけやすいので良いサンプルですね、大体の場合もっと分かりにくいことが多いです。
またバングルのフレームが細すぎて押せないときは、留め具の内側(通常は隠れている箇所)に押されることもあります。
刻印は、それだけにとらわれすぎるのはよくありません。
特にフランスの場合、刻印はそれ程意味は持ちません。
イギリスですら、時代がかなり古くなると、押されていなかったこともおおいそうです。
まぁ、見つけるのは楽しいですけどね。
そして最終的に大事なのは、
-ジュエリーを見たときにどこか不自然さがないかとか、
-そもそもジュエリーとして美しいかと言うことを判断できる感性を磨くこと
です。
「木を見て森を見ない」みたいなことがないように、と言うこともどうか覚えておいてくださいね!
これは実は、私も心がけていることです。
案外私たちも、やれこれは仕入れ値が高いとか刻印が・・・とかそうしたことばかりに意識がいっているとあまり本能的に良い買付ができないこともあるので。
私の場合、初対面ではまず値段とか刻印をみないで(なかなか大胆ですよね!)、気になるものをピックアップしていって、最後に電卓とルーペを片手にふんばっています。
最初は感性に任せて出会いを楽しむ、この瞬間が一番ドキドキして楽しいものです!
2014.01.07 (Tue)
日本におけるアンティークジュエリーの現状
きっかけは年末に頂きましたいつも懇意にさせていただいております修理屋さんからの1本の電話です。
「やぶきさん、実は・・・情けない話なのですが、今後専業でアンティークの修理だけでやっていくことが難しくなるかもしれません」
↑
いずれにしましても当店取り扱いのジュエリーはこれまでどおりお願いしますので影響はございません。
ご心配されないでくださいね。
うーん・・・、どういうことかといいますと。
彼はとても腕がよく
(日本でもこれまで一番アンティークジュエリーの修理を手がけている工房で実際に修理を長年手がけていて、その後独立された方です。)。
これまで当店を初め何店かの主に都内にありますアンティークジュエリーのお店から委託で修理を受けて生計を立てていました。
しかし特に大きかった取引先のいくつかが2013年に閉店、あるいは業務の大幅縮小をしたとのこと。
当然彼の方に来る仕事もぐっと減り、実質的な収入も大きくダウンしたとのことなのです。
私は一匹狼的いいますが、後に述べますが、この業界の雰囲気が好きでないところがあり。
あまりアンティークの催事などに出ておらず、現在の日本のこの業界全体の衰退と言うものをイマイチ理解しておらず、寝耳に水でした。
「でもそれだけの腕があるのだから何とかやっていけるでしょう?」
と言う私に色々「情報」を持っている彼が、この際だからとかなりぎりぎりのグレイな話をしてくれました。
それがこうです。
今、業界がかなり厳しくなっていて二極化している。
1)かなり力のあるところは、富裕層の方に特化して高額な商品に絞込み、顧客を絞り込んで何とか商売をしている。
2)そうでもないところは、大体下に流れてしまっている。
価格競争で厳しくなっており、よりカジュアルなものを扱う!
アンティークジュエリーはそもそも量産品ではありませんので、本来的にはこういうのは違うはずなのですが、色々なレベルのアンティークジュエリーが存在し、その玉石混合の中「お値段」だけにスポットがあたりがちで、どうしても下に引っ張られる傾向がある。
それが必ずしも悪いとは思いません、特に学生さんなど買えるものが限られるのは当然ですし、それがきっかけになりアンティークに興味を持ったりすることもあります。
若いうちはそれでも何かしら手に入れることが大事だったりすると思うのです、要は経験です。
人生のステージの中で手に入れるべきアンティークは変わっていきます。
そして最後がちょっと書きにくいところなのですが
3)それで苦境に陥ったお店が、微妙なラインのことをしているところもある。
例えば石だけが古いものなどを使って、現代製作した枠組みにアンティークらしい装飾を施すなど。
純粋に言えばオリジナルでアンティークでないものを手がけている。
↓
これもその事情を細かく説明して販売する分にはあっても良いのかもしれませんが、それを「オリジナルでアンティーク」として売るのはいけないですね。
修理屋さんはなまじ腕が良いので、そんな仕事を持ちかけられることがあるのだが、アンティークジュエリー一筋でやってきたので、そうしたものには手を染めたくないと言うプライドがある。
彼の立場もあるでしょうから、もちろん私も具体的なお店の名前等は聞きませんでした。
興味もないです。
ただ結局、業界全体が良いものを販売しないと、良心がないと、結局はこの業界の衰退につながると思うので、憂慮はします。
日本は、アンティークジュエリーのファンがとても多い国の一つです。
それは日本の文化にもそういう繊細さの美学があって、やはり中間層の文化的教養レベルが高いと言うのも関係しているでしょう。
でももう一ついえるのは、過去にこの業界の先輩方が、とても良心的にキチンと仕事をしてきたからでもあります。
私は、この仕事をして8年目ぐらいだと思うのですが、古くから店を構えてがんばってこられた方々のことを基本的には尊敬しています。
人のこと、他のお店のことを悪く言うことは絶対しませんし、正直興味がないんです。
自分以外でも(テイストが異なったとしても、テイストは人によって違います、幸いなことに!)良いものを扱ってらっしゃる方はもちろんいますし、それを尊重したいと思っております。
時々お客様から「○○って言うお店どう思いますか?
あのお店のHPに掲載されていたあのジュエリーどう思いますか?」と言われることはありますが。
それを「いや、あれよくないですよ!是非当店のを」
と言うのとかいやですし、無理なので絶対しないです!
お客様からすると物足りないかもしれませんが、
「実物を見たことないですし、何ともいえないですね。
当店テイストのジュエリーではないので何とも言えませんが、○○さんが欲しいと思われてらっしゃるのであれば、良いのではないでしょうか?」
とお応えさせていただきます。
実際に見たこともないですし、その方がどういう仕入れをなさったかも分からないです。
本当に良いものかどうか、正直写真だけですと(写真にもよる)プロでも分かりにくいことが多いです。
無責任なことも言えないです。
もちろん他店の方を検討されているのは寂しいですよ、でもそれとこれとは別のことです。
あとね、結局いいものが残るんです。
色々巧みに他業者を蹴落としたつもりでも、それは結局自分に帰ってくるんですよ。
一時的には売り上げをあげられるかもしれない、でもそうやって人を悪くいって伸びたところは結局自身が不信を買います。
もともと大前提として、パイの小さな業界です。
スーパーのお客さんの取り合いのようなことしても意味がありません。
それより誰もが誠意を持って仕事をして、業界全体のファンを増やした方がいい。
しなくてはいけないことは、自分自身がいいものを扱うこと真摯に自分のお客さんに対応することです。
そうすればそれが残ります。
でも催事などに出て感じたのは、ものすごくそういうのが多いんです。
あることないこと・・・根も葉もなかったりする噂話に花が咲いている。。。
でも私の経験からしますと。
本当に良いものを扱ってらっしゃるディーラーさん&お店って、まず他人のお店のことをとやかく言いません。
どうでもいいのでしょうね。
本当にすごい人って謙虚です。
色々この業界のちょっとどろん、どよんとしたところを聞くと、嫌な気持ちになりますが。
せっかく美しいものを扱っているのですから自分は自分なりに、気持ちよく綺麗に仕事をしてくのみですね。
結局、パーソナリティに問題があるとこの仕事はうまくいきません。
フランスのディーラーさん(と言うより駆け出しの子)でやはり若干、お金周りやパーソナリティに問題のある子がいて。
一度ちょっとしたトラブルになり付き合いを控えていて(でも特にそれを誰かにいったりしていなかったのですが)、先日懇意にしている現地のディーラーさんが、あの子はあそこでもここでも問題を起こしているからダメだね、残念だけどこの仕事に向いてないんだよ、と向こうから言ってきました。
そういうものです。
昨日アップしました、今年最初の作品。
ガーネットのフラワーリングです。
2色のガーネットが使われているのですが、分かりますでしょうか?
中心のガーネットがちょっとざくろ色をした深い赤色、周囲を取り囲む6粒のガーネットがそれよりやや色の淡い少し紫色を帯びた色です。
これはもちろん故意に行われています。

2013.09.04 (Wed)
アンティークジュエリーの刻印に関しての話3 &夏休みのお知らせ
是非ご拝読ください。
さて先日から書いている刻印の話。
専門的で難しい内容かもしれませんが、是非ご拝読を!
フランスの刻印=基本的には貴金属のカラットの証明にしかならない、
と言うお話をしてきたと思いますが、「刻印=年代、アンティークの証明」になるケースもなくはありません。
フランスの刻印も非常に種類が多いです。
そしてある種の刻印は昔しか使われなかったものなのです。
つまりそうした昔しか使われなかった刻印を見つけることができれば、それはアンティークの証明になります。
しかし実質的には、はっきりと分かるものは、数としてはとても少ないです。
例えばフランスのアンティークジュエリーにもっとも多い18金ゴールド。
この刻印でもっとも代表的なものが「鷲の頭」なのですが、これは随分前からこの刻印です。
この「鷲の頭」の刻印も過去、多少の変更が加えられていて、少し違うデザインのものが過去では押されていたいきさつはあり、運がよければ旧式の鷲の頭の刻印を見ることもできるでしょう。
しかし何といっても同じ鷲の頭ですので、それ程大きなデザインの違いはなくまたフランスの刻印は2ミリほど!
(イギリスの刻印よりずっと小さくそして指輪もフレームの内側ではなく外側に押されるので磨耗が激しいです。)
違いを見分けるのは、よほど綺麗に刻印が残っているものでない限り、プロにも至難の業です。
ここで気をつけたいのは、「古い刻印があれば=アンティーク」これは○ですが、「古い刻印がない=アンティークではない」これは必ずしも○ではないということです。
後年になって「刻印がないね、では押しましょう」といってその時代(つまり現行)の刻印が押されていることもすごく多いのです。
一体に昔のものほど、刻印がしっかり押されていない事例は多いです。
それは19世紀前半以前は刻印制度がまだしっかり確立していなかったからと言うことに加えて、古い時代になればなるほどオーダーメイドで作られた。
つまりお店などで売られる「製品」ではなかったからです。
奥深き刻印の話、実はまだまだ色々なケースがあるので、また今度ご紹介いたしますね。
2013.09.02 (Mon)
アンティークジュエリーの刻印に関しての深い話2
是非ご拝読ください。
先日の刻印の話の続きです!
アンティークジュエリーの刻印の話はとにかく色々な「例外」が多すぎて、私も何から書こうか迷ってしまいます。
まず前回のブログの最後に出てきました
「刻印ない、じゃ、押してもらおうか?」
の意味について解説です。
フランスのアンティークジュエリーには元々刻印の入っていなかたジュエリーはたくさんあります。
しかし特に「ゴールド」を使ったものに関して、近年は当局はそのジュエリーに刻印を押すことを求めてきています。
えっ、刻印って、昔のジュエリーでも今、押せるの?
↑
はい、そうです。
(フランスではそうです)
「押せる」、ではなくむしろそうすることが求められています。
これは先日のブログでも書いた盗品の流通を防ぐ目的です。
これが刻印がある=アンティークと言う証明には必ずしもならないと私が申し上げている最大の理由です。
イギリスの刻印と異なり、フランスの刻印は、基本的にはおおよその製造年や製造された場所を示すものではありません。
フランスの刻印とは基本的に、貴金属のカラットを示すためのものです。
例えば明らかに18世紀に作られたフランスの18Kのゴールドジュエリーで刻印のないものがあったとします。
現地のディーラーさんの取るべき(当局的に)正しい行動とは、それを当局(専門のところがあるそうです)に持参し、書類などを沢山記載し、手数料を払い、新たに刻印を押してもらうことです。
18世紀のものであろうと19世紀のものであろうと、現代のフランスの18金の刻印(後日また詳しく書きます「鷲の頭」)が押されます
しかしもちろんとても面倒でかつお金もかかる作業で、実質的な価値として現地では刻印があるかないかはあまり重要ではなかったりしますので(そうしなくてもディーラー間の中では問題なく売れてしまうため)、実際の場合、ディーラーさんはよほどのことがない限り、そうしないことも多いです。
では逆に、いかなる場合も刻印=アンティークの証明にならないか?です。
これがまたアンティークの難しいところなのですが、なる場合もあります!
これに関してはまた話が長くなりますので、次回

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下記は昨晩アップいたしましたマルチカラーのサファイアのネックレス。
イオレットサファイア、レモンイエローサファイア、ブルーサファイア、イエローサファイア、紫サファイア、ホワイトサファイア・・・
人口加工されていない多種多様のサファイア、本当に自然で綺麗な色です。
しかもよく見ると一点ずつ微妙にカッティングが異なったり、ため息が出る美しさです。

2013.08.30 (Fri)
アンティークジュエリーの刻印についてNoⅠ
先日、初めてのお客様からのお問い合わせで
「このリングに刻印はありますか?
気にいっているのですが、アンティークジュエリーには最近リプロも多いと聞いたので不安です。
というのも、アンティークの割りに指輪のバンドやショルダーがシンプルすぎるのでは?」
といったお問い合わせをいただきました。
もちろん早速、出来るだけ詳しくご説明をしてご返信をさせていただいたのですが、思わず「うーん」とうなってしまいました。
といいますのも刻印の話って、そんなに単純なものではなくて、色々な例外があります。
まず刻印がある=本物というのも、必ずしもそうではございません。
そしてこのご質問は、究極的にはアンティークの本物って一体なに?というものすごく深い話になっていってしまうため。
かなりの長文でお返事をさせていただきましたが、心から納得していただくには多分メールでは難しいだろうなと。
うーん、アンティークというものを、お会いせずに販売する難しさを改めて感じました。
まずイギリスとフランスでも事情が大きく異なります。
私は今回、フランスの刻印について書きますね。
まずフランスは、イギリスと比べてそれ程「刻印の歴史」はしっかりしていません。
刻印が押されていないモノは実はかなりたくさんあります。
1)一番多いものはなんと言っても指輪。
サイズ直しの歴史の中で消えてしまったと言うケースです。
今回お問い合わせいただいた指輪もこれであったろうと思います。
2)重量の少ないもの
免責されます。
3)これを言ってしまうとおしまいですが、そもそもフランスの刻印制度が厳しくなってきたのは後年になってきてからですので、アンティークで押されていないものは実はかなり多いのです。
具体的に言いますと19世紀前半以前のアンティークジュエリーは、刻印が押されていないものも多いです。
フランスのホールマークは19世紀の間に確立していったからです。
「じゃ、一体フランスの刻印って何なの??」って怒りを感じ始めますね。
はい、私ももっとしっかりしていてくれればお客様に説明しやすいのに!とよく思っています。
それを理解するためには、「フランスの刻印制度が何のためにあるか?」ということを考えてみるのが良い方法です。
「フランスの刻印=アンティークを証明するために作られたもので」では決してないというところを理解しておかないといけないです。
基本的には盗難防止が目的です。
アンティークのための刻印ではなく、現代ジュエリーを含むいわゆる「ゴールド」がその対象です。
このあたりが作られた場所や場合によっては大体の年代までわかってしまうイギリスの刻印と大きく異なります。。
フランスの税金やこのあたりの法律って実はとても細かくて、例えばフランスのセラーは、一点一点、決められた台帳にそのジュエリーの重量等、そしてそれを誰から仕入れたかなどを記載しなくてはいけません。
1商品ずつ番号がついていて、売却する際は決められた領収書(日本のように色々な文具店が出しているものではなく政府の決めたもの)にそのあたりも含めて全部記載します。
ちなみにこの領収書も事業者登録を行っている業者が、事業者登録番号を持ってようやく入手できるものです。
そしてフェアなどで売る際は、必ずその台帳を持参すること、これは盗難品の販売を防ぐためです。
そして現代の法律において、刻印のないゴールド製品はは(免責されないもの以外は)原則として、刻印を押さないといけないことになっています。
しかし実際にはもちろん、サイズ直しや修理といった経過の中で消えるものも含めて、刻印のないジュエリーがたくさんあるのです。
そこで色々なケースがおきてくるのです。かなり長く難しい話になるので、続きはまた後日。
何回かに分けてフランスの刻印の深い話を書いていきます。
このあたりのことは例えばアンティークがらみの日本で出版されている文献などにも通りいっぺんのことしか書いてありません。
例えば18Kには鷲の頭の刻印があります。買う時は必ず刻印をチェックしましょう!
みたいなことしか書いてないです。
そしてそれが一人歩きして、また色々な情報が氾濫しているので、お問い合わせくださいましたお客様のように情報だけが先に来てしまって心配になられる・・・みたいなことが多いのではないかなと思います。
私も長い年月の間に色々なジュエリーの刻印について実際に現地のディーラーから色々なことを教えてもらい、また事象に遭遇し。
おしゃべりのなかで「これにはこんなことがあったのよ!」「この前、こんなことがあったのよ」みたいな話が沢山集まり、いろいろなことを知ることになりました。
現地のディーラーさんでも知識もピンキリで、かなり詳しくマニアックに刻印や素材について追及する人もいれば、
「あっ、これ刻印ない、ごめん、押してもらってこようか?(この意味についてはまた次回書きますね。」と言ったことを言う方もいます。
なかなか日本ではあまり言及されていない面白い話になると思います!
アンティークジュエリーの刻印に関しては後日、アンティークジュエリーの刻印についてと言う専門のページを作りました。
是非ご拝読ください。
最近アップしたスタッドタイプのピアスです。
このように耳にピッタリとフィットするタイプのピアスはずっとつけたままにでき、また失くしやすいので非常に重宝です。

とても使いやすい、シンプルなようでいて、実はなかなか変わったところの多いダイヤモンドピアスです。
2009.06.03 (Wed)
「アンティーク時計」の魅力
帰国した後は、2週間分の仕事がたっぷりたまっているのと、もって帰った商品のケアなどなど。
先日時計の修理やさんにもいってきました。
今回時計も数点仕入れたのです。
オーバーホールなどがああるのですぐにはアップできませんが、またアップできるようになりましたら順次アップさせていただきますね。
「アンティーク時計」の魅力ってなんでしょう?
ジュエリー以上にマニア感とかプロ感があって、なんとなく敷居が高いと思っている方もいらっしゃうかもしれませんが。
その魅力はなんといってもそのもちのよさ。
というと
「じゃ、1分の遅れもなく長く使えること?」
と思われるかもしれませんが、そうではありません。
現在のメーカー時計、たとえばSEIKOなんかはもある一定期間(それが普通のものだたら3年だったり、高級なものだたら20年ぐらいもったりするわけですが)は一秒の狂いもないぐらい正確に動いていて、でもある日突然使えなくなってしまう。
マックス30年というところで、100年なんてもつ時計は皆無。
でもアンティークの時計って、
「1日2-3分の遅れはあるかもしれない。でも大事に使うと百年は使えます」
みたいなもちです。
もうちょっと長期的なスパンで長持ち。
こうした長持ちな感じな感じって、今のものにはないから、やっぱり愛しい存在のような気がします。
これは中を開けたときの写真。
こんな小さな機械(これは拡大していますが、実際は1センチほどです)が100年以上動くのだからやっぱり驚き!

↑の写真は1940年代ころの時計。ブシュロンの時計で、中身はOMEGAが製作したものです。